• 「非支配目的株式等」に該当するか否かの判定上、「短期保有株式」は保有割合に含めないことを政令が規定。
  • 保有する3月決算法人株式を「その他の株式等」に該当させるため、「基準日」直前に当該株式を買い増した法人は、売却時期を「基準日後2か月を経過した日以後」とする必要。

平成27年度税制改正における受取配当益金不算入規定の見直しにより、同規定における株式等の区分に新たに「関連法人株式等(株式等保有割合1/3超)」と「非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下)」が追加されたところだ。この改正を受け、株式保有割合の引上げを検討している法人は多いが、「関連法人株式等」には、改正法人税法施行令で「他の法人の発行済株式等の3分の1を超える株式等を配当等の額の計算期間の開始の日から当該計算期間の末日まで継続して有していること(法令22条の3①)」との“継続保有要件”が設けられている。このため、2015年3月期決算法人から受け取る配当について採ることができる唯一の対策が、3月決算法人の基準日までに、5%以下しか保有していない株式(「非支配目的株式等」に該当し、益金不算入割合は最低の20%となる)を買い増して「その他の株式等(益金不算入割合50%)」に該当させることだった。

非支配目的株式等に該当するかどうかは単純に「基準日」において株式保有割合が5%以下であるか否かにより判定することになっているが(5%以下なら非支配目的株式等に該当。法令22条の3の2①)、法人税法施行令22条の3の2第2項では、その判定上、「短期保有株式(配当等の額の支払に係る基準日以前1月以内に取得し、かつ、当該基準日後2月以内に譲渡されたもの。法法23条②)」を保有割合に含めないこととしているので要注意だ。つまり、「基準日前1か月以内」に株式を買い増し、これを「基準日後2か月以内」に売却した場合には、当該株式は「非支配目的株式等」に該当するか否かの判定上は考慮されないことになる。

上述のとおり、保有する3月決算法人株式を「その他の株式等」に該当させるため、基準日直前に当該株式を買い増した法人は少なくないとみられるが、当該株式を売却するのであれば、「基準日後2か月を経過した日以後」とする必要がある。なお、購入した株式と売却する株式が一致していなくても、「同一銘柄」を売却した場合には、購入株式を売却したことになる。

(情報提供:株式会社ロータス21)