• 国税庁、賃上げ投資税制などを含む平成30年度税制改正に対応した法人税関係の通達を公表。
  • 新設の国内設備投資要件(大企業向け)などの留意点を示す。無形資産であるソフトウエアが国内資産か否かはソフトウエアが組み込まれている資産の所在場所で判定。
  • 資本的支出は、一定の場合を除き国内設備投資の対象に。

平成30年度税制改正による見直し・改組により、大企業向けの所得拡大促進税制の適用要件は、雇用者給与等支給額が前年度を超えること、継続雇用者給与等支給額が前年度比3%以上増加することのほか、国内設備投資額が当期の減価償却費の総額の90%以上という「国内設備投資要件」が新たに設けられた(措置法42の12の5③八・九)。これらの要件を満たした場合には、給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除が適用できるほか、さらに教育訓練費増加要件を満たす場合には税額控除率が5%上乗せされる(税額控除額は法人税額の20%が限度)。

国内設備投資額とは、法人が適用事業年度において取得等をした国内事業の用に供する国内資産の取得価額の合計額を指す。国内資産とは、国内で事業の用に供する建物及び附属設備、構築物、機械装置、船舶、航空機、車両運搬具、工具及び器具備品、無形固定資産、生物である。これらの対象資産のうち、「国内事業の用に供する国内資産」に該当するか否かが迷いやすいのが無形固定資産だ。この点に関し措置法通達42の12の5-6では、例えば特許権、実用新案権、意匠権、商標権若しくは育成者権(これらの権利を利用する権利を含む)又は営業権については、これらの権利が使用される場所で判定することが明らかにされた。ソフトウエアについては、そのソフトウエアが組み込まれている資産の所在する場所で判定される。したがって、国外に据え置かれた有形資産や国外にある媒体に記録されたソフトウエアは、専ら国内向けの事業の用に供する場合であっても、国内資産に該当しないことになる。また、措置法通達42の12の5-7では、法人の有する国内資産が適用年度の終了日においてその法人の事業の用に供されていない場合であっても、その後国内においてその法人の事業の用に供されることが見込まれるときには、国内資産に該当することが明らかにされている。そのほか、措置法通達42の12の5-8では、法人の有する国内資産について資本的支出を行った場合のその資本的支出の金額は、一定の場合を除き、国内設備投資額に含まれることが明らかにされた。

(情報提供:株式会社ロータス21)