• 国税当局による滞納整理、租税条約による徴収共助要請で約8億円の滞納国税全額を徴収した事例も。
  • 滞納処分免脱罪では8人(6事案)を告発。起訴された7人に有罪判決が下される。
  • 滞納整理に係る原告訴訟、平成29年度中の終結件数178件のうち国側敗訴事案はゼロ件。

国際徴収や滞納処分免脱罪の告発などの専門分野の取組みを国税当局が強化するなか、平成29事務年度中に滞納整理が完了した事例のなかに、租税条約に基づく徴収共助の要請により滞納税額を全額徴収した事例があることが明らかとなった(参照)。この事例で国税当局は、外国税務当局による滞納者名義預金の差押え及び取立てにより徴収された金銭の送付により、約8億円の滞納国税全額を徴収した。

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また、国税庁によれば、平成29年度に滞納処分免脱罪で8人(6事案)を告発しているという。8人のうち7人が起訴されており(1人は不起訴)、4人に対しては執行猶予付の懲役刑、3人に対しては罰金刑の有罪判決が下された。告発事例のなかには、飲食業を営む滞納者が滞納処分の執行を免れるために、従業員に対する退職金の支給を装って2,500万円の金銭を従業員名義の預金口座に振り込むなどして財産を隠ぺいした滞納者を告発した事例があった。この事例では、滞納者に対して罰金50万円の有罪判決が下された。

そのほか国税当局では、訴訟手法を活用した滞納整理として原告訴訟の提起を行っている。国税庁によると、平成29年度中に167件の原告訴訟を提起。同年度中に終結に至った178件のうち国側が敗訴した事件はゼロ件であることがわかった。

(情報提供:株式会社ロータス21)