• 相互協議の発生件数は206件で過去最多。処理件数は166件で過去最多水準の前年度並み。
  • OECD非加盟国の発生件数(76件)も過去最多となり、処理件数(54件)を上回る。

国税庁が11月2日に公表した「平成29事務年度『相互協議の状況』について」によると、相互協議事案の発生件数は206件(前事務年度162件)となり過去最多の件数となったことが分かった。発生件数のうち事前確認に係るものは166件(約8割)で、残りの40件は移転価格課税その他(恒久的施設(PE)事案、源泉所得税事案等)に係るものとなっている。国税庁は発生件数が過去最多となった理由について、アジア諸国を中心とするOECD非加盟国において、移転価格税制の執行の強化が図られていることや、事前確認制度を導入し、現地に進出した日本企業の中にも相互協議の活用を模索する企業が現れたことなどによるものだと分析している。また、繰越件数は496件(同456件)と、発生件数が過去最多であることに伴い前事務年度よりも増加した。地域別では、アジア・大洋州が最多の262件で、次いで米州の134件、欧州の100件となっている。

処理件数は166件(前事務年度171件)で、前年度と同水準だった。処理事案1件あたりの平均期間は29.9か月で、このうち事前確認に係るものは30.7か月、移転価格課税その他に係るものは27.7か月であった。

OECD非加盟国・地域(中国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)との相互協議の発生件数は76件と過去最多。処理件数は54件にとどまり、繰越件数は200件(下図参照)とこちらも過去最多となった。処理事案1件当たりの平均期間は40.1か月(前事務年度36.9か月)、事前確認に係るものは52.0か月(同37.3か月)、移転価格課税その他に係るものは31.1か月(同35.9か月)だった。期間が長期化している理由としては、相手国の経験不足や人材不足のほか、処理に係るOECD非加盟国の事案件数の割合が増加していることなどが挙げられる。

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(情報提供:株式会社ロータス21)