• 事業承継税制の取消事由となる資産保有型会社等に該当しても「一定のやむを得ない事情」に該当すれば、納税猶予の取消事由に該当しないとの弾力的な取扱いが平成31年度税制改正で手当て。
  • やむを得ない事情とは、経営者死亡で保険金が入った場合など、意図的でなく一時的に特定資産の割合が高くなってしまったケース。

平成30年度税制改正で大幅な拡充が行われた事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)だが、平成31年度税制改正では資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合の弾力的な取扱いが措置される予定だ。

平成31年度税制改正大綱では、「一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合においても、その該当した日から6月以内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないものとする。」旨が明記された。

例えば、資産保有型会社とは贈与又は相続による事業承継を行った日の属する事業年度の直前の事業年度から申告書の提出期限までの帳簿上の資産価額総額に占める特定資産価額の合計が70%以上となる会社のこと。現行の取扱いでは、1度でも資産保有型会社に該当した場合には納税猶予が取消しとなってしまうため、金融機関からの買い入れに躊躇し、特定資産への設備投資が行われないなどといった問題点が指摘されていた。

このため、平成31年度税制改正では、特定資産への設備投資をするため金融機関から借り入れを行うケースや、経営者が亡くなり多額の保険金が入ったケースなど、納税者が意図したわけではなく一時的に特定資産の割合が高くなってしまった場合については、「一定のやむを得ない事情」に該当するものとし、6月以内に資産保有型会社等に該当しなくなれば納税猶予の打ち切りにはしないとの取扱いが設けられる予定だ。なお、特定資産とは有価証券、不動産、ゴルフ会員権、絵画等の有形の文化的所産である動産、貴金属及び宝石、現金、預貯金等となる(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則1条12項2号イ~ホ)。

最終的な文言については財務省で調整中であり、平成31年度税制改正法の公布と同時に明らかにされる租税特別措置法施行令に明記される予定。また、同様の規定が改正される中小企業における経営の承継円滑化に関する法律施行規則にも明記される。

(情報提供:株式会社ロータス21)