• 相続税の実地調査の件数は、新型コロナが影響し10,635件(前事務年度比▲14.7%)と減少。調査1件当たりの追徴税額は641万円(同+12.8%)で増加。
  • 海外資産関連事案に係る非違件数(149件)は、平成13事務年度以降で過去最高の件数。

国税庁は12月18日に「令和元事務年度における相続税の調査等の状況」を公表した。令和元事務年度における相続税の実地調査の件数は10,635件(前事務年度比▲14.7%)で、このうち非違件数は9,072件(同▲15.1%)であった。申告漏れ課税価格は3,048億円(同▲13.8%)で、追徴税額は681億円(同▲3.8%)となっており、いずれも減少した一方で、実地調査1件当たりの追徴税額は641万円(同+12.8%)と増加した。国税庁は実地調査件数が減少した理由として、新型コロナウイルス感染症の影響で、申告所得税の申告期限が一律に延長されたことや、延長期限後においても柔軟に申告書を受け付けるなどの確定申告事務を優先したり、政府の要請に基づき出勤抑制を行ったりしたことによるものであるとしている。また、大口・悪質事案を優先的に調査したことで、1件当たりの追徴税額については増加したとした。

相続税における簡易な接触(文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触)の件数は8,632件(前事務年度比▲16.5%)で、申告漏れの非違及び回答があった件数は5,397件(同▲8.2%)、申告漏れ課税価格は427億円(同▲3.6%)といずれも前事務年度より減少した。一方で、非違及び回答の割合は62.5%(同+5.6ポイント)と増加し、簡易な接触1件当たりの追徴税額も48万円(同+14.0%)と増加している。同庁は、限られた事務量の中で効果的・効率的に取組んだ結果、簡易な接触件数は減少したものの、1件当たりの追徴税額等は増加したとした。

海外資産関連事案に対する状況を見ると、実地調査件数は1,008件(前事務年度比▲16.1%)で、非違件数は149件(同+3.5%)であった。また、非違1件当たりの申告漏れ課税価格は5,193万円(同+27.8%)と、前事務年度より増加している。非違件数は、数値の公表を開始した平成13事務年度以降過去最高の件数となっている。

無申告事案に対する状況を見ると、実地調査件数は1,077件(前事務年度比▲22.0%)と減少したものの、実地調査1件当たりの追徴税額は897万円(同+22.6%)と増加しており、直近10年では過去最高の数値となった。

(情報提供:株式会社ロータス21)