• 審判所、上場株式等の譲渡損失の繰越控除は損失発生年分以降、申告書(更正の請求に基づく更正含む)が時系列的に連続して提出されていることが要件の1つと判断。
  • 26年分申告時において25年分申告に係る更正請求に基づく更正がないため、25年発生譲渡損の繰越を認めず(平成28年12月2日棄却)。

上場株式等の譲渡損失を翌年以降3年間繰り越すためには、①上場株式等に係る譲渡損失が生じた年分で計算明細書等の添付がある確定申告書を提出し、かつ、②その後において連続して確定申告書を提出している場合であって、③特例の適用を受けようとする年分の確定申告書に控除を受ける金額の計算明細書等の添付があることが必要となる(措法37の12の2⑦⑪)。

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例(以下「本件特例」)は多くの納税者に利用されており、その適用の可否が争われるケースも多いなか、本件では25年分の更正請求書の提出をもって26年分申告書が「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当するか否かが争われた。納税者による申告書等の提出等の時系列は下図のとおりである。納税者は、26年分の確定申告期限までに行った25年分の更正請求書の提出をもって26年分の申告書について訂正申告書が提出されたものとみなされるため、連続性の要件を満たす旨主張した。これに対し審判所は、措置法通達37の12の2-5に照らすと、本件特例は更正の請求に基づく更正により新たに上場株式等に係る譲渡損失があることとなり、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって、本件特例の適用を受けようとする年分の確定申告書に控除を受ける金額の計算明細書等の添付がある場合にも適用されると解釈。ただ、本件については、26年分申告書の提出時点において更正の請求に基づく更正がされなかったことは明らかであると指摘。「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当しないと判断した。

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(情報提供:株式会社ロータス21)