• 日税連、「平成30年度税制改正に関する建議書」のなかで、最重要建議・要望項目に「償却資産税の抜本的見直し」を新たに盛り込む。
  • 償却資産税の賦課期日を法人の決算日とすること、その申告期限を法人税及び所得税の申告期限と一致させることなどを要望。当局内では見直しに向けた議論も。

日本税理士会連合会(以下「日税連」)による「税制改正に関する建議書」は、税理士法第49条の11(建議等)や税理士法第1条(税理士の使命)により毎年取りまとめられるもの。たとえば、平成29年度税制改正では、日税連が重要建議・要望項目とした4項目のうち、「災害税制に関する基本法の立法化について」(災害関連税制の常設化)と「取引相場のない株式等の評価の適正化について」(類似業種比準方式の見直し)の2項目が主に実現している。

日税連が7月20日に財務大臣、財務省主税局長、総務大臣、総務省自治税務局長等に対して提出した「平成30年度税制改正に関する建議書」には、新たな最重要建議・要望項目として「所得控除の抜本的見直しについて」や「個人事業者番号の導入について」が追加されているが、なかでも実務的には「償却資産に係る固定資産税の抜本的見直しについて」が注目される。

これは、償却資産に係る固定資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とすることも一案と指摘する一方で、償却資産に係る固定資産税の賦課期日を法人の決算日とすること、申告期限を所得税及び法人税の申告期限と一致させること、将来的にe-TaxとeLTAXを連携又は統一することにより税額確定方式を申告納税方式に変更することなど、抜本的改革の検討をすべきであるとするもの。このうち、償却資産税に係る賦課期日(法人決算日と一致)と申告期限(法人税等の申告期限と一致)については、実現にはいくつかの課題があるものの、当局内でも見直しに向けた議論が進んでいる模様だ。

現在の償却資産に係る固定資産税の制度では、法人の決算日に関係なく、毎年1月1日に所有している償却資産の内容(取得年月、取得価額、耐用年数等)を調べて1月31日までに地方税当局に申告する必要がある。法人の税務担当者等は、賦課期日においては償却資産の申告事務を行うとともに、さらに決算時には償却資産の減価償却などの処理を行う必要があるわけだ。償却資産に係る固定資産税の賦課期日と申告期限を法人税等と一致させる改正が実現すれば、固定資産(償却資産)に関する事務負担が軽減されることになろう。

(情報提供:株式会社ロータス21)