• サービス研究開発、親会社が子会社にサービス設計4工程を委託(丸投げ)した場合でも、最終的な役務提供者が親会社であれば委託費は親会社で税額控除の対象に。
  • グループ会社で新たなサービス研究開発を分業するようなケースでは、研究開発の成果が共有され各社が開発されたサービスを提供していれば対象になる場合も。

平成29年度税制改正により研究開発税制の対象とされた新たなサービス研究開発(対価を得て提供する新たな役務開発に係る一定の費用)として想定されているのは、ビッグデータやAIなどを活用したサービスであり、「情報収集」(措令27の4②一号)、「情報解析専門家による情報解析等(法則性の発見)」(同二号)、「役務の設計」(同三号)、「設計内容の確認検証」(同四号)の4工程(サービスの設計工程)のすべてを行うことが税額控除の要件となる。

サービスの設計4工程の一部を他社に委託した場合であってもサービス研究開発に該当することになるが(措令27の4③二)、グループ会社における委託により実施するサービス研究開発の取扱いについて疑問をもつ企業や実務家が少なくないようだ。この点、課税当局によると、たとえば親会社が子会社にサービスの設計工程(4工程)の全部を委託(丸投げ)したような場合については、サービス研究開発の中身は子会社で実施していたとしても、最終的に新たな役務を提供するのが親会社であるという前提で子会社がサービス研究開発を行っているのであれば、親会社が子会社に支払うサービス研究開発に関する委託費は親会社で税額控除の対象になる模様だ。

また、グループ会社でサービス4工程を分業したようなケース(たとえばA社が情報収集、B社が情報解析等、C社が役務の設計、D社が設計内容の確認検証するような場合)については、内容等によるものの、たとえば分業によるサービス研究開発の成果が共有されるのであれば、各社が委託の関係と同様とみることもできるので、各社が開発されたサービスを提供するということであれば税額控除の対象となるケースもでてくるようだ。ただし、たとえば情報収集部分を分業するA社がそのサービス研究開発の成果を独占するような場合には、情報解析等を分業するB社、役務の設計を分業するC社、設計内容の確認検証を分業するD社はサービス4工程を実施していないことになるため、新たなサービス研究開発に係る税額控除の対象外となる点に注意したい。

(情報提供:株式会社ロータス21)