• 税務コーポレートガバナンスの状況が良好等で調査間隔が延長された大規模法人は51件に増加。
  • 税務上誤りが生じやすい事項を表形式でまとめた申告書確認表を活用している大法人は20%程度。活用を促進する方針を確認。
  • 海外取引調査充実策として、平成30年以降始まるCRSにより提供される金融口座情報の活用も検討。

国税庁では、平成23事務年度から全国約500社の特官所掌法人を対象とした税務に関するコーポレートガバナンス(以下「税務CG」)に関する取組みを実施している。

これは税務CGの状況が良好であり、調査結果に大口悪質な是正事項がなく調査必要度が低いと判断される法人については、税務リスクが高い取引などの自主的な開示を条件に次回調査までの調査間隔が延長されるというもの。たとえば、2年に1回の割合で税務調査が行われている大法人は調査間隔が2年となり、3年に1回であれば調査間隔が3年となる。この点に関し10月3日に開催された全国国税局調査査察部長(次長・監理官)会議(調査課関係)では、税務CGに関する取組みをさらに推進する方針を確認した。国税庁によると、平成29年6月末時点で調査間隔が延長された法人は51社で、前年(36社)よりも増加している。また、同庁によると、申告書確認表の活用割合は約20%(調査課所管法人)であることがわかった。申告書確認表は、税務上誤りが生じやすい事項を表形式でまとめたもので(国税庁HPに掲載)、利用は法人の任意である。今回の会議では、利用率が約20%程度にとどまる確認表の利用を大法人に促す方針を確認した。国税庁によると、確認表が活用された申告書を分析し、その活用方法などを検討しているようだ。

また、会議では、国際課税の充実が主な議題の1つとされたうえで、海外取引調査の充実策として、CRS(共通報告基準)の活用が議論された。CRSは、非居住者の金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するための国際基準のことで、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者(個人・法人等)が保有する口座情報(住所氏名、口座残高、利子配当等の年間受取総額等)の報告を受け、その非居住者の居住地国の税務当局に情報を提供するというものである。日本では平成30年以降、日本の居住者の海外金融機関の口座情報が海外当局から提供される。当局内では、これにより提供される非居住者である個人・法人等の金融口座情報の効果的な活用が検討されている。

(情報提供:株式会社ロータス21)