• 国税庁、平成28事務年度の法人税の調査件数は前事務年度比+3.5%増加の97,000件。回復傾向にあるものの、通則法改正前の水準を下回る状況が続く。
  • 連結法人数の増加に応じるかたちで、連結法人に対する実地調査の件数も増加傾向。平成28事務年度は前年度比+5.2%の163件。連結法人全体の実調率は「10.0%」。

国税庁が11月7日に公表した「平成28事務年度 法人税等の調査事績の概要」によると、法人税の実地調査の件数は97,000件で前事務年度から3.5%増加したことが明らかとなった。国税通則法改正前の水準を大きく下回る状況は続いているものの(参照)、調査件数は過去5年間で最も高い数値となっている。なお、実地調査の件数のうち非違があった件数は72,000件(前事務年度比+3.7%)で、調査による追徴税額は1,732億円(同+8.8%)であった。また、法人税等の実地調査率は前事務年度を0.1ポイント上回る「3.2%」(局所管法人10.8%・署所管法人3.1%)であった。

連結法人に係る法人税の実地調査の状況をみると、連結法人数の増加に応じて実地調査の件数も増加傾向となっている。平成28事務年度の実地調査の件数は163件(前事務年度比+5.2%)で、過去5年間で最も高い数値となっている。非違があった件数は154件(同+5.5%)で、調査による追徴税額は134億6,300万円(同-5.9%)であった。連結法人の実地調査率は局所管法人が「16.3%」、署所管法人が「4.5%」で全体としては「10.0%」であった。

国税当局が重点課題の1つとする海外取引法人等に対する調査をみると、平成28事務年度の実地調査の件数は13,585件(前事務年度比+4.1%)で3年連続増加している。海外取引法人等に係る非違があった件数は3,335件(同-0.8%)で、海外取引等に係る申告漏れ所得金額は2,366億円(同+2.5%)であった。

なお、海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査のうち、非違があった件数は1,556件(前事務年度比+1.9%)で、非違件数の内訳(追徴本税額2千万以上のもの)をみると最も多いのは使用料等(特許権など)であった。

【表】法人税の実地調査の件数
事務年度 実地調査件数
平成23年 129,000件
平成24年 93,000件
平成25年 91,000件
平成26年 95,000件
平成27年 94,000件
平成28年 97,000件
(情報提供:株式会社ロータス21)