• 30年度税制改正で導入の“再エネ税制”、固定価格買取制度との重複排除の観点から、太陽光や風力が適用対象外に。適用対象は地熱などに限られる見込み。
  • IoT投資減税に財源を配分した影響からか、特別償却率も20%にとどまる。節税メリットは限定的に。

平成30年度税制改正では、「平成30年3月31日まで」に取得等した分をもって適用期限切れとなるグリーン投資減税を期限通り廃止とする一方で、①「高度省エネルギー増進設備等」について取得価額の30%の特別償却(中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除(法人税額又は所得税額の20%が上限)との選択可)を認める“省エネ税制”と、②「再生可能エネルギー発電設備等」について取得価額の20%の特別償却を認める“再エネ税制”が導入される(与党・平成30年度税制改正大綱82頁の(1)が省エネ税制、83頁の(2)が再エネ税制)。

このうち再エネ税制の適用対象となる「再生可能エネルギー発電設備等」は、①非化石エネルギー源から電気若しくは熱を得るため又は非化石エネルギー源から燃料を製造するための機械その他の減価償却資産、②①の資産とともに使用するための機械その他の減価償却資産でその資産の持続的な利用に必要なもの――のうち「エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律の非化石エネルギー源の利用に資する一定のもの」とされ、「太陽光」「風力」「原子力」等は対象外とされた(83頁(注1)参照)。

太陽光についてはかつて即時償却が認められており、一時期、個人が売電収入を「事業所得」としてグリーン投資減税の適用を受ける等の節税策に活用されたが(太陽光発電設備の及び風力発電設備の即時償却はそれぞれ平成27年3月31日、平成28年3月31日で終了)、今後は風力等とともに、税制優遇の対象外となる。固定価格買取制度の対象としつつ税制優遇を講じるのは手厚すぎるとの判断によるものとみられる。

形の上では再生エネルギーに対する税制優遇措置は生き残った格好となっているが、“再エネ税制”の適用対象は地熱などに限られる上、同じく平成30年度税制改正で導入されたIoT投資減税(情報連携投資等の促進に係る税制(与党平成30年度税制改正大綱71頁(2)参照))に財源を取られたことの影響からか、特別償却率も「20%」と低い水準にとどまっている。かつてのグリーン投資減税のような節税メリットはないと言えそうだ。

(情報提供:株式会社ロータス21)