• 課税所得(過去3年間平均)が15億円超の中小法人を対象とした中小企業向け租特の適用停止措置、平成30年度税制改正法案では「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例」等を手当て。
  • 「交際費等の中小企業特例」と「欠損金の繰戻還付」は適用停止措置の手当てなし。平均15億円超でも、平成31年4月以降も適用可。

平成29年度税制改正法では、中小企業向けの租税特別措置について、中小企業者のうち事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人を「適用除外事業者」と定義し、適用除外事業者に該当する事業年度については中小企業向けの租特の適用を停止することとされた。この改正は、平成31年4月1日以後開始事業年度から適用される。平成29年度税制改正法では、平成31年4月1日以後開始事業年度から適用がある租特として、「研究開発税制のうち中小企業技術基盤強化税制(措法42の4③④)」や「中小企業等の貸倒引当金の特例(措法57の9①)」などの租税特別措置の適用停止が手当てされている。

このほど平成30年度税制改正法案では、新たに3つの租税特別措置の適用停止が手当てされた。具体的にみると、「高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別税額控除(措法案42の5)」(中小企業者等は取得価額の7%の税額控除の選択可)、「雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除(措法案42の12の5)」(中小企業者等は前年度から平均給与1.5%増加で増加分の15%を税額控除、また一定の要件を満たしたうえで平均給与2.5%増加の場合は増加分の25%を税額控除)、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例(措法案28の2)」である。

また、「賃上げ+設備投資」に消極的な場合(平均給与等支給額が前事業年度超、国内設備投資額が減価償却費総額の10%超のいずれにも該当しない場合)に研究開発税制などの租特の適用が停止される“ムチ税制”の対象から中小企業者等は除外されているが、「適用除外事業者」に該当する中小企業者は“ムチ税制”の対象となる(措法案42の13)。なお、平成30年度税制改正法案により適用期限が2年延長されることとされた「交際費等の中小企業の特例(措法案61の4)」や「欠損金の繰戻還付停止措置(措法案66の13)」は、適用を停止する旨が盛り込まれていないことから、過去3年間の平均課税所得が15億円超であっても適用が可能である。

(情報提供:株式会社ロータス21)