• 30年度税制改正で導入の“ムチ税制”、たとえ個別の連結法人が平均給与要件、国内設備投資要件をクリアしても、連結ベースでクリアできなければ連結法人への租特が適用停止となることが改正条文で判明。
  • 研究開発税制は、要件をクリアできなければ「総額型」「オープンイノベーション型」「高水準型」のすべてが適用停止に。

平成30年度税制改正では、大法人が所得・平均給与・国内設備投資について一定の要件をクリアできない場合、研究開発税制、地域未来投資促進税制、IoT投資減税の適用が停止されるといういわゆる“ムチ税制”が導入されるが、同税制について規定した改正条文が措法42条の13⑥だ。現行の措法42条の13(法人税の額から控除される特別控除額の特例)は、複数の税額控除規定を適用する場合の取扱いについて定めているが、ムチ税制は同条に「6項」を新設するという形で措置される。

ムチ税制の中でも、もし適用が停止されれば最も影響が大きいと思われる研究開発税制については、6項の中で措法42条の13①一、三、四に掲げる規定が参照されている。これは、一定条件をクリアできなければ「総額型」「オープンイノベーション型」「高水準型」のいずれもが適用停止となることを示している。

連結納税を採用する企業グループから関心が集まっていたのが、ムチ税制の発動要件の判定単位だ。この点については、複数の税額控除規定を適用する場合の取扱いを定めた上記措法42条の13の“連結納税版”と言える措法68の15の7に同じく「6項」が新設され、一号の平均給与要件、二号の国内設備投資要件ともに、クリアしているか否かは“連結ベース”、すなわち「連結親法人及び各連結子法人の合計額」で判定することとされている。その上で同条文では、「連結法人が…特定税額控除規定(3つの租特を指す)の適用を受けようとする場合において…次に掲げる要件(一号、二号を指す)のいずれにも該当しないとき…は、当該特定税額控除規定は、適用しない」と規定している。

要するに、たとえ個別の連結法人(連結親法人又は連結子法人:法法2十二の七の二)が個別に平均給与要件、国内設備投資要件をクリアしていたとしても、連結ベースでこれらの要件をクリアできなかった場合には、当該連結法人に対する研究開発税制、地域未来投資促進税制、IoT投資減税の適用は停止されることになるので要注意だ。

(情報提供:株式会社ロータス21)