• 平成30年度税制改正により所得拡大促進税制を改組。中小企業は、継続雇用者(前期当期の全期間の各月に給与支給がある一般被保険者である従業員)に対する給与総額が前事業年度比1.5%以上増加で税額控除の適用あり。
  • 継続雇用者への給与支給額がゼロの場合は適用要件を満たさず。

平成30年度税制改正による「所得拡大促進税制」の見直し・改組により、中小企業にとっては、大企業に課された設備投資要件がないなど、所得拡大促進税制の使い勝手が向上している(平成30年4月1日開始事業年度から適用)。

中小企業向けの所得拡大促進税制(措法42の12の5②)は、雇用者給与等支給額が前事業年度を超えることを前提に、継続雇用者給与等支給額が前事業年度比で「1.5%」以上増加していれば、その増加額の15%相当額を税額控除(法人税額の20%が限度)できるものである。継続雇用者とは、適用事業年度およびその前事業年度の期間内の各月に給与等の支給を受けた一般被保険者(高年齢者に係る継続雇用制度の対象者を除く)に該当する国内雇用者を指す(措法42の12の5③六、措令27の12の5⑬)。継続雇用者給与等支給額がゼロである場合には、所得拡大促進税制の適用要件を満たさないものとされている(措法42の12の5⑥、措令27の12の5㉒)。

また、上乗せ措置として、継続雇用者給与等支給額が前事業年度比で「2.5%」以上増加、かつ、①教育訓練費が前事業年度比で10%以上増加または②中小企業等経営強化法に係る経営力強化計画の認定・証明のいずれかを満たす場合には、継続雇用者給与等支給額の増加額の25%(通常は15%)相当額の税額控除が可能である。

具体的な教育訓練費には、①法人が教育訓練等を自ら行う場合は外部講師に対する報酬など、②法人から委託を受けた他の者が行う場合はその委託費、③法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合はその他の者に対して支払う授業料などが含まれる(措法42の12の5③十、措令27の12の5⑱、措規20の10③④⑤)。なお、前事業年度の教育訓練費がゼロであっても、適用事業年度の教育訓練費が発生している場合には、教育訓練費に係る要件を満たすものとされている(措令27の12の5㉔)。もっとも、中小企業の場合は、前述のとおり経営力向上計画に係る認定書の写しなどの書類を確定申告書等に添付していれば(措規20の10①)、教育訓練費に係る要件を満たしていなくても上乗せ措置の適用が可能である。

(情報提供:株式会社ロータス21)