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性同一性障害の患者が医師による診断、治療等を経て海外で受けた性別適合手術(いわゆる性転換手術)の費用について、名古屋国税不服審判所は当該手術費用等が医療費控除の対象となる旨の判断を示した。性同一性障害については、平成16年7月に施行された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、性同一性障害特例法)により、戸籍上の性別変更が可能となったが、今回の裁決により、性別変更のための性別適合手術費用が医療費控除の対象になることが示されたことになる(名裁(所)平19第29号)。
性同一性障害特例法…性別変更の要件
性同一性障害の診断と治療に関しては、(社)日本精神神経学会が公表している「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」(以下、ガイドライン)において、診断および治療のプロセス等が示されている。また、性同一性障害特例法では、性同一性障害によって戸籍上の性別を変更することが可能となる要件の1つとして、生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(3条1項4号)およびその身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(5号)を規定している。審判所は、当該要件を満たすためには性別適合手術が必要であると認めているようだ。
海外で性別適合手術を受ける
つまり、性同一性障害で性別を変更するため、ガイドラインに沿った治療として性別適合手術を受けることにより、性同一性障害特例法3条の要件を満たした場合、その手術費用は医療費控除の対象となると考えられる。しかし、性同一性障害の患者は、ガイドラインに沿った治療を受けた後、性別適合手術を受けることを希望しても、日本国内で当該手術を受けることは難しい状況にある。
今回の審査請求事案でも、請求人はガイドライン(第2版)における倫理委員会等による倫理性の判断を経ずに海外での性別適合手術を受けた模様だ。その際、医師2人に性別適合手術を受けるために必要な診断書の作成を依頼し、医師2人は手術を行う病院あてに診断書を作成している。
自らの判断のみで手術を受けていない
審判所は、海外での性別適合手術について、@ガイドラインの手続を経たものではないが、医師2人が作成した診断書に基づき行われており、請求人自らの判断のみで受けたものではないこと、A医師2人が手術は正当な治療であったと認識しており、請求人が手術後も引き続き医師による治療を受けていることから、医師による適正な治療と判断。手術費用は医療費控除の対象となる医療費に該当するとした。
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