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中小企業庁財務課長の私的研究会である「信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会」が取りまとめた「中間整理〜信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けて〜」が税理士など実務家の関心を集めている。「非公開会社においては、議決権の行使の指図権と剰余金配当請求権等の経済的権利を分離させても、会社法上の問題は生じないと考えられる。」として、想定事例を紹介しており、この中間整理を受けることになる信託銀行等の商品展開が注目される。
議決権と財産権の分離は問題なし
中間整理では、いくつかの信託スキーム(@遺言代用信託を利用した自益信託スキーム、A他益信託を利用したスキーム、B後継ぎ遺贈型受益者連続信託を利用したスキーム)を想定事例として取りあげているが、これらのスキームでは、非公開会社においては、信託により、議決権と剰余金配当請求権等の経済的権利を分離することも問題はないとしている。各スキームの特徴はそれぞれであるものの、事業承継においては、事業承継者にまとまった議決権を承継させ、他の相続人に対して一定の財産(経済的権利)を承継させたいというニーズが高く、自社株に相続財産が集中している状況を併せて検討すれば、自社株の議決権と財産権の分離は事業承継ニーズに合致した事業承継スキームということができる。また、このほか、「議決権行使の指図権には財産的価値はないと考えられる。」と指摘している。
受託者の担い手に注目
信託を利用した事業承継スキームには、事業承継の当事者のほか、事業承継の相談窓口となっている税理士などの実務家からも大きな関心が寄せられ始めた。しかし、スキームにおいては、受託者の担い手については言及されていない。受託者は信託された株式の管理(議決権の行使など)を行うことになるが、受益者保護の要請もあいまって、信用が重視される。信託業法の改正により、必ずしも信託銀行などに限定されているものではないにしても、信託の担い手としては、現実的には信託銀行等の金融機関が中心にならざるをえない。
この中間整理を取りまとめた研究会には、大手信託銀行の担当者が参加していることもあり、リーガルリスクを懸念して、踏み込んだ事業承継商品の展開に慎重であった信託銀行等の金融機関の対応が変わってくるのではないかと期待されている。
また、信託銀行が重い腰をあげない展開となれば、信託を利用した事業承継スキームの発展は遅れることになるが、信用と営業力を補完することで、新たな信託業の担い手が生まれることになりそうな状況といえそうだ。
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