2008年10月17日
排出権の損金算入時期、会計上の費用化時期と一致しない可能性
政府口座への移転、申請等、客観的事実が必要に
 

 地球温暖化を防止するための仕組みとしての排出権取引が活発になりつつあるが、これに伴い、排出権の政府・償却口座への移転に伴う法人税法上の損金算入時期の明確化を求める声が企業サイドから上がっている。
 会計上は、実際に償却口座に移転していなくても、「移転することが確実」と認められる場合には費用化が認められることになるが、税務上は、このような見込みだけでは足りず、それを裏付ける客観的事実が求められることになりそうだ。
 現行寄付金税制との整合性を考えると、たとえば、償却口座への移転の「申請」や 実際に移転した時などにおいて損金算入が認められることが考えられる。

現行の寄附金税制との整合性も問題に
 排出権取引とは、国や企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、この排出枠を取引する仕組みで、京都議定書に盛り込まれているもの。たとえば、ある国で排出枠が余り、別の国で排出枠を超えて温室効果ガスを排出することとなった場合には、両国間で排出枠を取引することができる。
 京都議定書では2008年〜2012年を「第一約束期間」と定め、温室効果ガスの総排出量を1990年から少なくとも5.2%を削減することとしている。この第一約束期間の2008年に入ったことで、このところ排出権の取得が活発になりつつある。
 排出権は売買の対象となるが、売却した場合には自ら温室効果ガスの削減にはつながらない。国際的に削減したものと認められるには、日本政府の償却口座に移転する必要がある。そこで問題となるのが、排出権の費用化の時期だ。
 会計上は、実際に償却口座に移転していなくても、「移転することが確実」と認められる場合は費用化が可能である(企業会計基準委員会「実務対応報告第15号 排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」)。
 問題は、会計上の損金算入時期が税務上も容認されるかどうかだ。
 排出権を政府の償却口座に移転することは、政府のCO2削減目標に貢献することになるが、これは事実上、政府に対する「寄附」とも考えられる。税務上、寄附金は支出した時点において損金算入されることになるが、償却口座への移転を事実上の寄附と考えると、税務上の損金算入時期は、寄附の時期、すなわち、政府の償却口座への移転、あるいは、移転の申請を行ったときなどが考えられる。いずれにせよ、税務上は、このような見込みだけではなく、償却口座への移転を裏付ける客観的な事実が求められることになりそうだ。その意味で、排出権の費用化(損金化)の時期は、会計と税務では必ずしも一致しない可能性があろう。


(情報提供:株式会社ロータス21)
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