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MBOを活用して上場会社を非上場化させる過程において少数株主を排除するため全部取得条項付種類株式を活用するスキームがあるが、会社法改正における合併等対価の柔軟化に伴い、このスキームに対し包括否認規定が適用されることを懸念する声が一部専門家にあるようだ。
現金交付型の株式交換を活用しなければ、包括否認規定の適用対象?
このスキームは、MBOを活用して上場会社を非上場化させる過程において、経営陣等がSPCを設立してTOBを実施した後、普通株式を全部取得条項付種類株式に転換、少数株主に1株未満の端数が割り当てられるよう普通株式の割当比率を調整し、当該1株未満の端数に相当する金銭を交付、結果として、少数株主を排除するというもので、広く実務家に知られている。
こうしたなか、全部取得条項付種類株式を活用した一連のMBOスキームに対し包括否認規定が適用される恐れを指摘する声が一部であがっている。その理由とされるのが、会社法により平成19年に施行された合併等対価の柔軟化だ。
合併等対価の柔軟化により、上場会社がMBOにより非上場化する過程で、少数株主を排除するために現金交付型の株式交換を行うことが可能となった。これにより、現金交付型の株式交換を活用すれば、全部取得条項付種類株式を活用する場合と比して、会社法上、より簡単な手続で少数株主を追い出すことができることになったわけだが、それにも関わらず、あえて全部取得条項付種類株式を活用するのは、税負担を回避するためのものであり、包括否認規定の対象になり得るというわけだ。現金交付型の株式交換と認定されれば、税務上、SPCを株式交換完全親法人、MBOする会社を株式交換完全子法人とする「非適格株式交換」に該当し、株式交換完全子法人が時価評価の対象となり、評価損益が課税対象となる。
しかし、本誌取材によると、一連のMBOスキームは包括否認規定の適用対象にはなり得るものの、常に包括否認規定の適用対象となるわけではないようだ。むしろ、包括否認規定の適用対象となり得るのは、少数株主の排除よりも、金銭を渡すことに主眼が置かれているような一部のケースとなろう。すなわち、一定の交換比率により株式を交付した結果、TOBに応じなかった株主のみならず、全株主に対して端株のみが割り当てられるようなケースである。実際、あるホールディングカンパニーのケースでは、「1:0.0000457」という交換比率にもかかわらず、一部株主に対しては1株以上の株式が割り当てられており、包括否認規定は適用されていない。このようにみると、包括否認規定の適用を過度に不安視する必要はないといえそうだ。
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