|
東京地裁民事第2部(岩井伸晃裁判長)は4月28日、平成18年の法人税法改正前の事案において、DES(債務の株式化)を実施した債務者企業について、債務消滅益が生ずるか否かなどが争点となっていた事案に対し、「混同により消滅した本件貸付債務の券面額とその取得価額との差額につき、債務消滅益が発生したものと認められる(損益取引により生じた益金として認められる)。」などと判示して、課税処分を容認する判決を言い渡した。
事案の概要
本件は、原告(法人)が、平成15年5月期の法人税確定申告について、関連会社からの債権の現物出資および同社への新株発行による同社に対する債務の株式への転化(DES)につき、混同による債務消滅益の計上漏れがあるなどとして、更正処分等を受けたため、その取消しを求めている事案である。
原告の主張
原告は以下のとおり主張した。
・DESは、1個の取引行為として資本等取引に該当し、債務消滅益は発生しない。
・DESにおいては、現物出資対象債権の評価を巡って、券面額説と評価額説があり、平成12年ころ東京地裁商事部が券面額を採用することを明らかにしてからは、現物出資の検査役の調査報告も券面額で行うようになった。
・法人税法の平成18年改正により、DESの券面額処理が認められなくなったと解されているが、これはそれまでの処理を立法により変更したものであり、本件DESには、適用されない。
・国は、混同をもって損益取引であると主張するが、混同は事実であって取引ではないので、損益取引には該当しない。
裁判所の判断
岩井裁判長は、以下の判示をしたうえで、原告の請求を棄却した。
・本件DESは、@現物出資による貸付債権の移転、A貸付債権とこれに対応する債務の混同による消滅、B新株発行という複数の各段階の過程によって構成される複合的な行為であり、1つの取引行為と見ることはできない。Aの混同の過程においては、資本金等の金額の増減は発生しないので、資本等取引には該当しない。
・会社法制上、一般に現物出資対象債権の評価を券面額または評価額のいずれで行うかという議論は、法人税法上、適格現物出資における現物出資対象債権の価額の認定には影響を及ぼさない。
・混同により消滅した本件貸付債務の券面額とその取得価額との差額につき、債務消滅益が発生したものと認められる。
|