2009年7月31日
最高裁、所得税額控除の記載額限度要件を柔軟解釈
本件更正請求は適用範囲を追加的に拡張する趣旨のものではない
 

 最高裁判所第二小法廷(今井功裁判長)は7月10日、受取配当金に課された所得税額の税額控除の計算で、簡便法の計算を誤ったことに起因する所得税額控除の過少申告に係る更正の請求の是非が争点となっていた事案について、「本件更正請求は、所得税額控除制度の適用を受ける範囲を追加的に拡張する趣旨のものではないから、これが法人税法68条3項の趣旨に反するということはできず、上告人が本件確定申告において控除を受ける所得税額を過少に記載したため法人税額を過大に申告したことが、国税通則法23条1項1号所定の要件に該当することも明らかである。」などと判示して、納税者の更正の請求を容認する逆転判決を言い渡した。

事案の概要
 本件は、上告人が、本件事業年度における法人税の確定申告において、法人税法68条(所得税額の控除)および69条(外国税額の控除)の各金額の計算を誤るなどした結果、納付すべき法人税額を過大に申告したとして、国税通則法23条1項1号所定の更正の請求をしたのに対し、被上告人が、所得税額控除および外国税額控除は確定申告書に記載された金額を控除の限度とするとして、これを超過する税額控除を認めず、したがって、更正をすべき理由がない旨の通知をしたところ、上告人が、本件通知処分の取消しを請求したものである。
 第一審(熊本地裁)は、納税者の請求を容認し、控訴審(福岡高裁)は、納税者の請求を棄却していた。

最高裁の判断
 最高裁第二小法廷は、「(記載金額を限度と規定した法人税法68)条3項は、納税者である法人が、確定申告において、当該事業年度中に支払を受けた配当等に係る所得税額の全部又は一部につき、所得税額控除制度の適用を受けることを選択しなかった以上、後になってこれを覆し、同制度の適用を受ける範囲を追加的に拡張する趣旨で更正の請求をすることを許さないこととしたものと解される。」との判断枠組みを示したうえで、本件の事実関係等に基づき、「本件更正請求は、所得税額控除制度の適用を受ける範囲を追加的に拡張する趣旨のものではないから、これが法人税法68条3項の趣旨に反するということはできず、上告人が本件確定申告において控除を受ける所得税額を過少に記載したため法人税額を過大に申告したことが、国税通則法23条1項1号所定の要件に該当することも明らかである。そうすると、本件更正処分は、上告人主張の所得税額控除を認めずにされた点において、違法であるというべきである。」として、上告人の請求を容認する判決を言い渡した。


(情報提供:株式会社ロータス21)
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