2009年11月6日
役員報酬の公表義務化で業績連動型報酬の損金算入が進展も
法令改正が実現すれば影響必至
 

 平成18年度税制改正における役員給与税制の大改正により導入された利益連動給与だが、その適用要件の厳しさから、それほど利用は進んでいない。企業にとってネックとなってきたのが、役員報酬額の開示だ。
 こうしたなか、金融商品取引法令上においても役員報酬の開示を明確に義務付け、平成22年3月期からこれを実施する旨の方針が伝えられており、実現すると、結果的に業績連動型報酬が法人税法上の「利益連動給与」として損金算入対象となるケースが増えることになりそうだ。

多くの企業は損金算入よりも「非公表」を選択
 平成18年度税制改正で導入された利益連動給与の損金算入要件の1つに、「客観的な算定方法の内容の開示」というものがある(国税庁・平成18年6月公表「役員給与に関するQ&A」Q15参照)。
 しかし、これまで多くの企業が個別の役員報酬が公に晒されることを避け、業績連動型報酬を支給しても損金算入をあきらめるケースが多かった。
 国税庁のQ&Aにより、「個々の業務執行役員に支給する利益連動給与の算定方法の内容が結果的に明らかになるものであればよく、算定方法が同様の利益連動給与について算定方法の内容を包括的に開示することを妨げるものではない」「開示の対象はあくまで利益連動給与の算定方法の内容であり、役員の個人名の開示を求めるものではなく、その肩書き別に利益連動給与の算定方法の内容が明らかにされていれば足りる」といった情報が流されるなか(同 Q15)、たとえばある大手企業では、総支給額の計算根拠を示し たうえで、会長・社長、専務、常務等の役職に応じて「役位ポイント」を設定、役位ポイントの総和を分母として、総支給額を各役職別の役位ポイントで按分し、各役員への個別支給額の計算方法を明らかにする方法を採用、利益連給与の損金算入を行ってきた模様だが、このような企業は少数派にとどまっていた。
 こうしたなか、仮に金融商品取引法令の改正により「業績連動型報酬の算定方法」を含む役員報酬の公表が義務付けられることになれば、法人税法上の利益連動給与にも多大な影響を及ぼすのは必至だ。改正により業績連動型報酬の算定方法の公表が義務付けられることになっても、法人税法そのものの改正を伴うものではないが、結果として、これまで損金不算入となってきた業績連動型報酬が一転、損金算入の対象となるケースが大幅に増加することが考えられよう。
 企業にとっては、役員報酬額の公表の代償として損金算入の恩典を受けるという、何とも皮肉な結果となりそうだ。


(情報提供:株式会社ロータス21)
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