• 平成31年4月1日以降の譲渡から、要介護認定等を受けた被相続人が相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた場合も、一定の要件を満たせば空き家の譲渡特例(所得控除)の対象に。
  • 要件の1つである被相続人による家屋の一定使用には、家財道具等の保管や被相続人が家屋に一時滞在した場合などが該当。

空き家の譲渡所得の特別控除とは、被相続人が所有する一定の居住用家屋及びその敷地等を相続した相続人が相続時から3年を経過する年の12月31日までにその居住用家屋等を譲渡した場合に、その譲渡に係る譲渡所得の金額から3,000万円を特別控除するというものである(措法35③等)。

平成31年度税制改正前は、相続開始直前において被相続人のみが居住している場合のみが適用対象とされていたが、改正により、適用期限が平成35年(2023年)12月31日まで延長されたほか、平成31年4月1日以降の譲渡から、被相続人が相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた場合も一定の要件を満たせば適用対象とされることになった。一定の要件として税制改正大綱では、①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと、②被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始直前まで、その家屋について被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又は被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないことなどが挙げられていた。ここで実務家の疑問が寄せられていたのは、被相続人による家屋の一定の使用とは具体的に何を指すのかという点である。この点に関し新措令では、老人ホーム入所により被相続人の居住の用に供されなくなった時から相続開始直前まで引き続きその被相続人居住用家屋がその被相続人の物品の保管その他の用に供されていたことが被相続人による家屋の一定の使用に該当することが明らかにされた(新措令23⑦一)。本誌取材によると、被相続人が家財道具等の保管場所として使用していた場合や老人ホームに入所している被相続人が居住用家屋に一時的に滞在した場合などが被相続人による一定の使用に該当することが明らかとなっている。そのほか新措令では、被相続人が相続開始直前まで主として老人ホーム等を居住の用に供していたことも要件とされた(新措令23⑦三)。なお、特例適用のためには、市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書を確定申告の際に添付する必要がある。

(情報提供:株式会社ロータス21)