- 令和6事務年度の法人税の申告所得金額、102兆3,381億円と5年連続で増加し、過去最高を更新。また、申告税額も18兆7,139億円で平成元年以来の過去最高額。
- 源泉所得税等の税額は20兆3,445億円と前事務年度から▲4.6%の減少。定額減税の影響によるものと考えられる。
国税庁は10月30日、「令和6事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」を公表した。令和6事務年度における法人税の申告件数は322万件(対前年比+1.4%)で、その申告所得金額は102兆3,381億円(同+4.1%)と5年連続で増加し、過去最高を更新した。同庁は、その他の業(不動産業、銀行・信託業、一次産業(農林業、漁業・水産業))(対前年増減所得金額+2兆3,435億円)、サービス業(同+1兆4,804億円)、建設業(同+9,716億円)において特に増加額が大きいことに加え、大半の業種で申告所得金額が増加していることが主な要因であるとした。また、対前年比では、料理・旅館・飲食店業において増加率が高く(対前年比+38.5%)、インバウンド効果による影響を指摘している。多くの業種が増加している一方で、製造業及び運送業においては申告所得金額が減少したが、これについては前年の増加額が大きかった反動によるものとした。なお、申告税額は18兆7,139億円(同+7.6%)であり、過去最高であった平成元事務年度(18兆6,412億円)以来、久しぶりに過去最高を更新した。
なお、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から導入されたグループ通算制度の状況については、通算法人1万9,409法人のうち、申告件数は1万9,457件(対前年比+2.8%)、申告所得金額は32兆6,885億円(同+9.8%)であった。
また、「令和6事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要」をみると、源泉所得税等の税額は20兆3,445億円と前事務年度から減少した(対前年比▲4.6%)。主要な所得では、給与所得の12兆3,694億円(同▲4.9%)、配当所得の3兆2,503億円(同▲27.9%)などが減少している。国税庁は、給与所得の減少について、給与の支給額や雇用者が増加しているため、税額が増える要素はあるものの、それを上回る定額減税の影響により減少したのではないかとしている。その一方で、株取引の活発化や日経平均株価等の上昇による影響で、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等は1兆4,251億円(同+72.4%)と大きく増加しており、特定口座が導入された平成15年以来過去最高となった。

