• 仮想通貨の申告手続きが簡便化。所得税では、国内の各仮想通貨交換業者が交付する年間取引報告書を利用した確定申告が可能に。
  • 相続税では、相続人の申請により各仮想通貨交換業者が被相続人に係る仮想通貨の残高証明書を交付。
  • 仮想通貨関係FAQを更新。相続税や法定調書などの取扱いを追加。

国税庁は、今年4月以降6回にわたり「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催してきた。この研究会での議論の結果を踏まえ国税庁は11月21日、仮想通貨の申告手続きの簡便化の方法を公表するとともに、昨年12月に公表した仮想通貨関係FAQを更新した。

国税庁によると、平成30年分の所得税確定申告から、国内の各仮想通貨交換業者により毎年1月末をめどに交付される「年間取引報告書」を利用して確定申告を簡便に行うことができる。年間取引報告書には、仮想通貨名ごとに購入金額や売却金額などが明記される。年間取引報告書で集計した年間取引の総額等により、国税庁HP上で公表されている「仮想通貨の計算書」を活用して仮想通貨の所得を自動的に計算することできる。

相続税の申告手続きの簡便化では、被相続人が保有していた相続開始時点における仮想通貨の残高等を証明する統一的な手続きが整備される。具体的には、仮想通貨を相続した相続人は、国内の各仮想通貨交換業者に対して「残高証明書」の交付の申請をした場合に、相続開始日現在の仮想通貨残高等を記載した残高証明書の交付を受けることができる。相続人は、残高証明書に記載された仮想通貨の残高等により相続税の申告書を作成・提出することになる。

また、仮想通貨関係FAQの更新では、新たに所得税・相続税・法定調書などに関して12問のFAQが追加された。

具体的にみると、所得税関係では、年間取引報告書を活用した所得金額の計算方法などが新たに追加された。また、相続税関係では、相続や贈与により取得した仮想通貨の評価方法は外貨の取扱い(評価通達4-3)に準じて、活発な市場が存在する場合には、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価することが明らかにされた。なお活発な市場がない場合は、その仮想通貨の内容性質、取引実態等を勘案して個別に評価する。法定調書関係では、仮想通貨は財産債務調書の対象になる一方で、国外財産調書の対象にはならないことが明確化された。

(情報提供:株式会社ロータス21)