• 国税庁、令和元事務年度の法人税の調査件数は、新型コロナが影響し、前事務年度より22.9%減少の76,000件。緊急事態宣言期間(4~6月)の調査件数は1,300件程度。
  • 法人税・消費税に係る簡易な接触件数は44,000件。実地調査と簡易な接触の件数を合計した接触率は「3.8%」。

国税庁は11月30日、「令和元事務年度における法人税等の調査事績の概要」を公表した。法人税の実地調査の件数は76,000件(対前事務年度比▲22.9%)と、前年度より大幅に減少した。このうち非違があった件数は57,000件(同▲22.3%)で、調査による追徴税額は1,644億円(同▲15.4%)となっており、いずれも大幅に減少している。なお、緊急事態宣言の期間(4月~6月)に調査に着手し、処理が終了した事案の件数は1,300件程度であったとした。調査件数等が減少した一方で、調査1件当たりの追徴税額は215万6,000円と、前事務年度の196万4,000円(同+9.7%)より増加した。同庁は、新型コロナウイルス感染症の影響で全体の調査件数等は減少したものの、調査必要度の高い法人を的確に絞り込んだ結果、調査1件当たりの追徴税額が増加したとしている。法人税、消費税、源泉所得税の各実地調査1件当たりの追徴税額の合計は347万円と、平成26事務年度以降6年連続で増加し、過去最高の数値となった。

法人税等の実地調査率は「2.4%」(税務署所管法人2.4%、局所管法人8.6%)で、調査1件当たりの平均日数は11.9日(前事務年度11日)であった。

国税庁が主要な取組の1つとしている消費税還付申告法人については、実地調査の件数は5,838件(対前事務年度比▲10.9%)で、消費税213億円(同+21.8%)を追徴課税している。このうち707件は不正に還付金額の水増し等を行っており、調査による追徴税額は25億円(同▲47.1%)となっている。

また、悪質な納税者には実地調査を行う一方で、それ以外の納税者には電話やはがき等の送付による簡易な接触も行っている。法人税・消費税の簡易な接触の件数は44,000件(対前事務年度比+2.4%)で、申告漏れ所得金額は42億円(同▲3.4%)、追徴税額は27億円(同▲31.3%)であった。こうした取組により、簡易な接触件数と実地調査件数を合計した、法人税・消費税の観点からの接触率は「3.8%」((税務署実施の簡易な接触率+実地調査の件数)÷税務署所管法人数)となった。なお、3.8%の内訳は、実地調査(税務署所管法人)が2.4%、簡易な接触が1.4%となっている。