• 広告配信などの役務提供に係る課税仕入れが国外売上に対応するものであれば、個別対応方式により全額仕入税額控除可。
  • 海外支店が国外事業者から役務の提供を受ける事業者向け電子商取引(広告配信など)は、国内法人(本店)に消費税の納税義務が発生。

平成27年10月1日以降、従来は不課税(0%)であった国内事業者が国外事業者から役務の提供を受ける事業者向け電子商取引(広告配信など)について、国内事業者に対し消費税(8%)が課税される。この消費税課税の見直しは、国内法人が国外事業者から広告配信などの役務の提供を受ける場合だけでなく、国内法人の“海外支店”が国外事業者から広告配信などの役務提供を受ける場合も対象になるという点に注意が必要だ。

新消費税法では、電子書籍・広告の配信などの電子商取引(「電気通信利用役務の提供」)に関する内外判定基準を役務提供者ではなく、役務の提供を受ける者の所在地等で行うと規定された。役務の提供を受ける者が法人の場合の内外判定は、その法人の本店または主たる事務所の所在地により行う(消法4③三)。つまり、国外事業者から役務の提供を受ける者が国内法人(本店)の“海外支店”の場合は、内外判定をその本店所在地(内国法人の住所地)で行うため、“海外支店”が国外事業者から役務の提供を受ける広告配信などの事業者向け電子商取引は国内取引として消費税の課税対象(リバースチャージ方式)となるわけだ。したがって、本店である国内法人(課税売上割合95%以上の法人を除く)は、海外支店が国外事業者に支払った「事業者向け取引」に係る支払対価の額を消費税の課税標準に加算するとともに、仕入税額控除を行うことになる。もっとも、この場合の仕入税額控除は、広告配信などの役務提供に係る課税仕入れが国外売上に対応するものであれば、個別対応方式により全額仕入税額控除を行うことができるため、経済的な影響は軽微といえるだろう。

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(情報提供:株式会社ロータス21)