• 国税庁が税務CGの取組みを見直し。令和3年7月以降の実地調査から実施。
  • 調査時期延長等は税務CGの評価が「良好」の場合に実施されていたが、今後は税務リスクに応じて決定。
  • 調査省略事業年度における一定の取引の自主開示の要請は廃止。

国税庁は、税務に関するコーポレートガバナンス(以下「税務CG」)の充実に向けた取組を見直す方針を明らかにした。令和3年7月以降の実地調査から実施される。

税務CGとは、税務について経営責任者等が自ら適正申告の確保に積極的に関与し、必要な内部体制を整備すること。国税局調査課所管法人のうち、特別国税調査官が所掌する全国約500社の法人を対象として行われている。税務調査の機会に税務CGの状況を確認・判定し、その評価結果が「良好」とされた場合には、一定の条件の下で次回の税務調査の時期を1年以上延長又は調査期間を短縮するというものである。令和元事務年度では97社で次回調査時期の延長等が行われている。

このように、従来は税務CGの評価結果が「良好」であれば、次期調査時期の延長等が行われていたわけだが、今回の税務CGの見直し後はリスク・ベース・アプローチ(RBA)という考え方を採用。調査時期は、税務CGの状況だけではなく、最新の申告内容等を含む各種要素に基づき判定した税務リスクに応じて決定することとし、現行の調査時期の延長等の措置は発展的に解消するとしている。税務CGの状況が「良好」であることは税務リスクを低減させ調査時期の延長等の可能性は高まるものの、「良好」との評価だけで単純に調査時期の延長等がなされるわけではない。

また、これまでは調査時期が延長された場合は、調査省略事業年度において法人が一定の取引を自主的に開示し、国税当局がその開示内容に係る処理の適否を判断することとしてきたが、今回の見直しに併せて、国税当局から税務CGの取組みとして自主開示を要請することは廃止された。

そのほか、税務CGの評価結果はこれまで法人に伝えていなかったが、トップマネジメントとの面談時に評価結果を「良好」「おおむね良好」「改善が必要」の3区分により口頭で伝達することにした。また、調査時期の延長等が行われた企業数等の公表に代えて、税務CGの評価結果が「良好」である法人数を公表するとともに、各事務年度における各評価区分の法人数及び全体に占める割合も公表する。法人が伝達された評価結果を基に、自社の立ち位置を把握し、改善につなげるとしている。

(情報提供:株式会社ロータス21)