• 複合機等によりペーパーレスFAX機能と印刷機能を同時併用した場合の電子帳簿保存法上の取扱いについて疑問広がる。
  • 受信者がペーパーレスFAXを使っているかは送信者側には不明のため、送信者が書面をFAXした場合には、送信者には電子データ保存義務はないと解することが合理的。

電子帳簿保存法取扱通達解説の7−8によると、FAXは通信方法としては電磁的記録によりやり取りされていることから電子帳簿保存法2条5号に規定する「電子取引」に該当するとしつつも、「当該やり取りは送受信に係る技術的な側面に過ぎず、現在普及しているFAXの一般的な使用状況を踏まえれば、送信者側も受信者側も書面により確認及び保存することを前提としていることから」書面によるやり取りであると解説されている。ただし、ペーパーレスFAXを含む複合機等によるデータの送受信については、「電磁的記録としてデータの取り出し及び保存を前提とし、そのような機能を用いて書面による出力をすることなく電磁的記録の保存を行う場合」には電子取引に該当し、電子データ保存が必要になるとしている。

もっとも、複合機等により電子データを送受信する場合でも、書面を出力することは少なくない。通達解説では「電磁的記録としてデータの取り出し及び保存を前提とし、そのような機能を用いて書面による出力をすることなく電磁的記録の保存を行う場合」との前提が置かれており、紙に印刷する機能とペーパーレスFAX機能を同時併用した場合の取扱いは必ずしも明確ではない。

また、通達解説では「誰にとって」電子取引に当たるのかも明記されていない。「電磁的記録としてデータの取り出し」との記述からは「受信者にとって」のものに見えるが、「複合機等のファクシミリ機能(いわゆるペーパーレスFAX等を含む。)を用いて送受信する場合において」との記述からは、「送信者にとって」との意味も込められているようにも読める。

受信者にとって電子取引であれば送信者にとっても電子取引に該当するということも理屈上は考えられるが、送信者側では受信者がペーパーレスFAXを使っているかどうかは不明であり、それを確認することも不可能に近い。このため、送信者が紙の書面をFAXした場合には、たとえ受信者がペーパーレスFAXを使っていようと、電子取引には当たらず、送信した書面を電子データ保存する義務はないと解することが合理的ということになろう。

(情報提供:株式会社ロータス21)