• 登録価格のない分筆後の土地の価額が争われた裁決で、審判所は、固定資産評価基準により土地の登記申請日の登録価格相当額とすべきと判断(令和2年8月24日裁決)。
  • 原処分庁は、分筆前の土地を類似不動産として選定したが、審判所はこれを認めず(一部取消し)。

本件は、登録価格のない分筆後の土地の価額がいくらになるかが争われた裁決。請求人(不動産売買業務等を目的とする合同会社)は平成29年6月に売買により取得した土地の所有権移転登記の際に納付した登録免許税額が過大であったとして還付通知をすべき旨を請求したが、認められなかったため、原処分の全部の取消しを求めた。請求人は、本件土地は①山林状の急傾斜地である、②道路に接続しない袋地であるなどの各事情が反映された平成30年度の登録価格を基に算定すべきと主張した。

審判所は、類似不動産(登令附則3条)とは不動産と価額の均衡が図られる近傍類似の不動産を意味するというべきであり、類似不動産に該当するかは不動産の所在地、間口、奥行き、形状、現況、接道状況及び利用状況等の事情を総合比較して判断すべきであるとの見解を示した。また、登録価格のない不動産について、類似不動産が存在しない場合には、他の方法により求めた登記の時の価額を課税標準たる不動産の価額(時価)とするものと解するのが相当であるとし、固定資産評価基準によってその価額を算定し、これが時価を上回ることを示す特段の事情がない限り、当該価額をもって登録免許税の課税標準たる不動産の価額と解することも相当であるとした。

原処分庁は、登録価格のない分筆後の土地の価額について、分筆前の土地を類似不動産として選定した上で、分筆前土地の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)を基礎として算定したが、審判所は、分筆前土地は道路に接面し宅地相当と認められる部分があり、宅地としての登録価格が設定されているのに対し、本件土地は、①宅地相当と認められる部分及び道路との接面がなく、②平成30年度の登録価格は、分筆前土地に適用していた路線価とは別の路線価が適用され、また、宅地化が困難な雑種地として設定されているなど、分筆前土地は、本件土地の類似不動産とは認められないと指摘し、原処分の一部を取り消した。なお、平成30年度の登録価格を基に算定すべきとの請求人の主張に対しては、登記申請日とは時点の異なる台帳価格を基礎とするのは相当ではないとし、審判所は、土地の登記申請日(平成29年1月)の登録価格相当額とすべきであるとした。

(情報提供:株式会社ロータス21)