• 太陽光発電設備に係る課税仕入れの日が争われた裁決。
  • 審判所は、発電設備によって発電した電力が売電できる状態となった時をもって、契約に係る付加価値が請求人に移転したというべきであるとし、原処分の全部を取消し(大裁(諸)令3第18号)。

本件は、請求人が令和元年6月課税期間中に太陽光発電設備に係る課税仕入れを行ったとして、消費税等の確定申告を行ったところ、原処分庁が、太陽光発電設備に係る課税仕入れをした日は課税期間中ではないから、支払対価の額は仕入税額控除の対象とはならないとして消費税等の更正処分が行われたもの。請求人は、課税仕入れを行った日は太陽光発電設備であるパワーコンディショナを作動させる工事が完了し、太陽光発電設備が稼働できるようになった平成30年7月10日であるとして、原処分の全部の取消しを求めた。一方、原処分庁は、課税仕入れを行った日は太陽光発電設備の所有権が移転した代金の支払いを完了した平成30年5月25日であるとしていた。

審判所は、課税資産の譲渡等により譲渡人の下で付加価値が譲受人に移転したというためには、単に課税資産の譲渡等に係る契約その他の原因行為がされたというのみでは足りないが、これに係る契約その他の原因行為についての債務の全部の履行が完了していることまで必ずしも要するものではなく、譲受人等の下において課税資産の譲渡等に係る資産や役務による経済的利益を享受すべき状態が実現したことをもって足りるというべきであるとした。その判断に当たっては、課税資産の譲渡等に係る契約その他の原因行為の内容や性質のほか、その趣旨目的、その対価である代金の支払の状況や請負工事に係る作業の完了等の課税資産の譲渡等に係る債務の履行状況を総合的に考慮することが相当であるとした。

その上で審判所は、契約は単に太陽光発電設備の譲渡を内容とするものではなく、発電設備によって発電した電力を電力会社に売電することができる状態とすることも含まれたものであるとし、発電設備が発電した電力を電力会社に売電できる状態となった時をもって、契約に係る付加価値が請求人に移転したというべきであるとした。原処分庁は、課税仕入れ日を代金支払完了日と主張したが、審判所は、契約によれば単に所有権の移転のみをもって判断すべきではないと指摘。発電設備に係る課税仕入れを行った日は平成30年7月10日(令和元年6月課税期間)との判断を示し、原処分の全部を取り消した。

(情報提供:株式会社ロータス21)