• 令和4年10月から国税庁の機器・通信環境を利用したリモート調査を試行的に実施。
  • 国税局調査部の特別国税調査官所掌法人である約500社が対象。対象法人は段階的に拡大へ。
  • リモート調査には対象法人の同意が必要。希望する企業は調査の際に「リモート調査の実施に関する同意書」を提出。

国税庁は令和4年10月から同庁の機器・通信環境を利用したリモート調査を試行的に実施する。新型コロナウイルス感染症が拡大する中にあっては、令和2年10月から、対面機会をできる限り少なくするため、大企業の一部でリモート調査を実施していた。これまで実地調査全体(約1,000件)の3割程度で、リモート調査を行っていたという。しかし、その多くは調査官が企業に出向き、別室等で企業の通信機器等を利用して行うものであったため、企業からは、調査官が企業に出向くことなく、国税局内でリモート調査をできるよう要望が挙がっていたものである。

今回、リモート調査の試行の対象となるのは一部の大規模法人であり、具体的には、国税局調査部の特別国税調査官及び沖縄国税事務所調査課による調査の対象となる法人約500社となる。ただし、対象法人のすべてに対してリモート調査が行われるわけではない。リモート調査は納税者の理解を前提として実施するため、希望する企業については、実際の調査の際に「リモート調査の実施に関する同意書」を国税局等にe-Taxで提出することが求められる。同意書では、「ウイルス感染等の被害が生じるおそれがあること」「調査の必要上、国税当局の判断により、臨場及び直接の対面での調査に切り替える場合があること」などの記載事項について同意するとともに、リモート調査の際に使用するメールアドレスを提供することになる。

試行の内容としては、インターネット用端末とWEBカメラを利用してオンライン(Webxを使用)で概要聴取等のヒアリングを実施したり、専門のリモート調査用メールアドレスを発行した上で、オンラインストレージサービス(Prime Drive)を利用して帳簿データ等の受け渡しを行うとしている。このほか、実際の運用を通じて、リモート調査の実施に必要とされる要件(機器・通信環境・実施手続等)を整理することとしている。

今回の試行の対象は特官所掌法人のみだが、国税庁は、今後は段階的に対象法人を拡大していきたいとしている。

(情報提供:株式会社ロータス21)