• 国税庁が問題視していた高額な無申告及び連年の無申告について、令和5年度税制改正で対応措置。
  • 高額無申告は、納税額(増差税額)が300万円を超える部分は無申告加算税の割合を30%に引上げ。
  • 繰り返し行われる無申告は、無申告加算税等を10%加重。

10月28日開催の政府税制調査会の「納税環境整備に関する専門家会合」で議題の1つとして挙がったのが現行制度では対応しきれない税務調査で見受けられる悪質な事例だ。例えば、高額な所得を得ていながら無申告としていた事例や、長年にわたり無申告となっていた事例について国税庁が説明した。これらの無申告は、申告時における仮装隠蔽行為や意図的に申告をしないことを外部からもうかがい得る特段の行動がなければ重加算税の対象とはならず、通常の無申告加算税の対象となるだけであり、政府税調調査会でも早期の対応が必要とされていたものである。

令和5年度税制改正では、この高額な無申告及び繰り返し行われる無申告についてメスが入れられることになった。

無申告加算税については、増差税額が50万円以下の場合は15%、50万円を超える部分は20%の無申告加算税が課されることになっている。しかし、今回の改正では、増差税額が300万円を超える部分については、ペナルティとして無申告加算税の割合を30%に引き上げるとしている。なお、国税庁によると、令和2事務年度では、所得税377件、法人税34件、消費税(個人・法人)333件、相続税308件で増差税額が300万円を超えている。

ただし、高額な無申告であったことが納税者の責めに帰すべき事由がない場合には適用せず、現行通り20%とする。例えば、相続事案で、他の相続人の財産が事後的に発覚した場合などが該当するという。

また、一定期間繰り返し行われる無申告行為については、無申告加算税等について10%加重する。現行の加算税率は、無申告行為が繰り返された回数にかかわらず一律(15%(20%))であるため、意図的に無申告行為を繰り返す者に対する牽制効果は限定的とされている。

このため、無申告行為を未然に防止する観点から、前年度及び前々年度の国税について、無申告加算税又は無申告重加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される無申告加算税又は無申告重加算税については、10%加重する措置を整備する。単なる無申告の場合は25%(30%)、仮装隠蔽行為に課せられる無申告重加算税の場合であれば税率は50%にのぼる。

(情報提供:株式会社ロータス21)