• マンションの評価通達に関する有識者会議が開催。マンションの市場価格と相続税評価額の乖離の是正方法などについて検討。

国税庁は1月30日、マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議を開催した。今回の有識者会議は、与党が取りまとめた令和5年度税制改正大綱において、相続税におけるマンションの評価方法の適正化を検討する旨が明記されたことを踏まえたものである。

マンションについては、「相続税評価額」と「時価(市場売買価格)」とが大きく乖離しているケースもあり、このような事案の場合には、相続税の申告後に国税当局が評価通達の総則6項を適用し、路線価等に基づく相続税評価額ではなく、鑑定価格等による時価で評価し直して課税処分されるというケースもある。ただ、国税庁によると、ここ10年の総則6項の適用件数は9件と非常に限られている。しかし、令和4年4月19日の最高裁判決では、評価通達によらない評価とすることは合理的な理由がない限り平等原則に反するとされているため、国税庁は、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離は、予見可能性の観点からも評価方法の見直しにより是正することが適当としている。

有識者会議には、大学教授、税理士、不動産業界の関係者等が委員となっており(下表参照)、座長には前川俊一明海大学名誉教授が就任した。今回設置した有識者会議では、相続税評価額と市場価格との乖離の実態把握及び要因分析の方法の検討のほか、乖離の是正方法及び乖離の是正に当たって留意すべき事項等が検討される。第1回目の会議では、「見直しの範囲を一部のタワーマンションに限定すべきではない」「市場への影響にも配慮すべき」などの意見が出された模様だ。なお、今回の見直しは、評価額と時価の乖離を適切に是正するものであり、一部の租税回避行為の防止のみを目的とするものではないとしている。

今後のスケジュールは未定だが、有識者会議は複数回開催される予定。次回は国税庁が乖離の実態把握を行った上で開催される運びとなっている。

(情報提供:株式会社ロータス21)