• 令和6年度の審査請求の認容割合は17.9%と大幅増。消費税事案の一部認容件数が増加したことが要因も、税目・年分ごとに件数をカウントするため、納税者の請求が一概に認められているともいえず。
  • 訴訟の発生件数は196件、終結件数は168件と前年度と同程度で推移。終結件数における評価通達6項の適用件数は2件。

国税庁と国税不服審判所は6月20日、令和6年度における「再調査の請求」、「訴訟の概要」並びに「審査請求の概要」をそれぞれ公表した。再調査の請求の概要によると、発生件数は1,447件(前年度2,494件)と前年度から大きく減少したことが明らかとなった。前年度は、消費税の課税期間の特例の適用を受けている納税者1人が数百件の処分について再調査の請求を行ったことで件数が増加していたものであるとしており、発生件数自体は一昨年と同水準となっている。また、処理件数は1,752件(同2,278件)であり、このうち納税者の請求が何らかの形で受け入れられた認容件数は91件(一部認容78件、全部認容13件)であった。認容割合は5.2%と、前年度に引き続き低水準で推移している。

審査請求については、発生件数は3,537件(前年度3,917件)と前年度より9.7%減少したものの、過去10年間で2番目に多くなった。また、処理件数は3,872件(同2,873件)と、過去10年で最多の件数であった。認容件数は693件(一部認容522件、全部認容171件)、認容割合は17.9%と、前年度(認容件数279件、認容割合9.7%)に比べて大幅に増加した。審判所は、消費税事案における一部認容件数が増加したことが一因としているが、審査請求の件数は処分(税目・年分)ごとにカウントするため、一概に納税者の請求が認められているわけではないとしている。なお、審査請求の発生件数のうち、直接審査請求が行われた件数は2,463件となっており、発生件数に占める直接審査請求の割合は69.6%であった。

訴訟の概要については、発生件数196件(前年度189件)のうち、第一審発生件数は97件であった。終結件数は168件で、このうち評価通達6項の適用件数は2件となっている。また、国側が敗訴したものは8件(一部敗訴3件、全部敗訴5件)で、敗訴割合は4.8%であった。国税庁によると、敗訴件数の税目別・審級別では、地裁4件(所得税2件、法人税1件、相続税1件)、高裁4件(法人税2件、相続税1件、贈与税1件)であるとした。国側敗訴8件のうち4件(控訴審2件、上告審2件)は上級審にて係属中となっている。