• 東京地裁、非居住者の暗号資産の譲渡についての期限後の更正の請求認めず。国税庁の公表情報の記載の追加は法令の解釈の変更に該当しないと判断(令和7年9月30日判決)。

上海居住の非居住者である原告は、日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡し、その譲渡に係る所得について、平成29年分所得税の申告納付をした。

国税庁が平成29年12月1日付で公表した「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」には、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡することにより生ずる所得が所得税の課税対象となるかについては記載がなかったが、令和4年12月22日付で改訂した令和3年12月22日付の「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(本件情報)には、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡することにより生ずる所得は、所得税の課税対象とされていない旨が新たに記載された。

原告は、本件情報が公表されたことを知り、令和5年4月に上記所得等を0円とする更正の請求(本件更正請求)をするも認められなかったとして訴訟を提起。裁判では、更正の請求をすることができる期間を経過した後に行われた本件更正請求に、期限後の請求が認められるべき「政令で定めるやむを得ない理由」(国税通則法23②三、令6①五)があるか否かが争われた。

東京地裁は、国税庁長官が本件情報の公表前において、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡することにより生ずる所得が所得税の課税対象となる旨を公表していたとは認められないと指摘。したがって、本件更正請求は国税通則法施行令6条1項5号の「国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正又は決定に係る審査請求若しくは訴えについての裁決若しくは判決に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表された」場合には該当しないと判断した。

また原告は、本件申告の前に電話応対をした税務署の職員が、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡することにより生ずる所得が所得税の課税対象となると述べたとも主張した。しかし、東京地裁はこの主張についても、仮にかかる事実が認められたとしても、原告の電話に応対した職員の発言が国税通則法施行令6条1項5号の「国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈」に該当するものとは認められないとして斥けている。

情報提供:株式会社ロータス21