• 平成28年度税制改正で、「企業版ふるさと納税」や「一般用医薬品等の購入費用を対象とした所得控除制度」が創設される見込み。
  • 雇用促進税制は適用期限延長の見込みも、対象から非正規雇用が除外される可能性大。
  • 非上場株式の評価方法の見直し、相続税の遺言控除の創設の実現は見送り。長期検討項目に。

平成28年度税制改正大綱の策定に向け、自民党税制調査会(宮沢洋一会長)や公明党税制調査会(斉藤鉄夫会長)の会合が連日開催されるなか、平成28年度税制改正の方向性がみえてきた。

自民党税調の小委員会は11月30日、同党政務調査会の各部会が重点要望した項目に対する採否の審議(いわゆる○×審議)を実施した(公明党税調は12月1日実施)。

具体的にみると、平成28年度税制改正では、新設項目として「企業版ふるさと納税」や「一般用医薬品等の購入費用を対象とする所得控除制度」が創設される見込みだ。このうち企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対する企業の寄附について、現行の損金算入措置に加え、法人住民税および法人税の税額控除(寄附額の30%)を新設するというもの。ただ、対象となる寄附先(地方公共団体)は、三大都市圏で地方交付税不交付団体である地方公共団体(東京都23区など)および法人の主たる事務所が立地する地方公共団体以外の地方公共団体に限られる。

適用期限を迎える租税特別措置法関係では、雇用促進税制は適用期限が延長されるものの、適用対象から非正規雇用が除外される可能性が高い。中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例、交際費等の損金算入の特例なども適用期限が延長される方向だが、その内容が何らかのかたちで縮減される可能性もありそうだ。

平成28年度税制改正での実現が見送られる主だった項目をみると、死亡保険金の相続税非課税限度額の拡充や上場株式等の相続税評価の見直しなどは実施されないことが決まった。また、相続税の遺言控除の創設や非上場株式の評価方式の見直しなどは長期検討項目とされた。

今年10月に公表されたBEPS最終報告書に関連するものをみると、「移転価格税制の文書化(行動計画13)」に係る国内制度の整備に係る配慮の実現が決まった一方で、「外国子会社合算税制の見直し(行動計画3)」は長期検討項目とされた。

現在、政府税制調査会で検討されている個人所得課税改革は、平成29年度税制改正以降のテーマになることが確実となった。

(情報提供:株式会社ロータス21)