• CFC税制の見直しで、受動的所得(資産性所得)の合算金額の計算方法が変更に。
  • 配当や利子など金額が「プラス」の項目に、有価証券譲渡損益など「プラス・マイナス両方の可能性がある項目」を追加。後者がマイナスになっても前者との通算は不可も、マイナスの金額は翌期に繰り越し可。

平成29年度税制改正におけるCFC税制の大幅改正に伴い、受動的所得(資産性所得)の範囲も見直されている。ポイントは、現行の資産性所得は配当、利子など金額が「プラス」の項目のみであるのに対し(措法66の6④、措通66の6-18の2)、受動的所得では、これに有価証券譲渡損益、デリバティブ取引・為替差損益など「プラス」「マイナス」両方の可能性がある項目が追加されているという点だ。

そこで気になるのが、配当等の「プラス」の金額と有価証券譲渡損等の「マイナス」の金額を通算できるのかという点だが、結論からいうとこれは“不可”とされる。

部分合算金額の計算方法は平成29年度税制改正大綱に示されているが(財務省版大綱100頁②)、そこでは、部分合算課税の対象となる金額は、金額がプラスのみの項目(イ)と金額がプラス・マイナス両方の可能性がある項目(ロ)の合計額であるとしたうえで、ロに「(当該合計額が零を下回る場合には、零)」とのカッコ書きを付している。

この記述を踏まえると、例えばイが「+100」、ロが「-50」の場合、ロは「零」とされるため、部分合算金額は通算して50ではなく「100+零=100」ということになる。

ロでマイナスが生じた場合、そのマイナス分の金額は繰越欠損金として利用(7年間)することができる(財務省版大綱100頁③)。ただし、大綱に「当該事業年度の上記②ロに掲げる金額の計算上、控除する」とあることから分かるように、ロの欠損金をイの金額と通算することはできない。また、ロの欠損金はロの中でだけの使用が求められる以上、部分合算ではなく「全部合算」することとなった事業年度においても、ロの欠損金を全部合算する所得と通算することはできない。

欠損金の繰越控除の仕組みは基本的には企業にとって有利となるものだが、欠損金の額が少額にとどまることも予想される中、企業側からは欠損金を使用するためには必須となる「欠損金の管理」という新たな事務負担の発生を懸念する声も上がっている。

(情報提供:株式会社ロータス21)