• 小規模特例、同居親族が被相続人とともに老人ホームに入居した場合の親族要件の判定方法判明。
  • 同居親族要件の判定で租税特別措置法上の例外規定なし。老人ホームに入居した相続人は同居親族に該当せず。一方、当該相続人が非同居親族要件を満たす場合には、小規模特例の適用が可能。

被相続人が老人ホームに入居した場合の小規模宅地特例については、平成25年度税制改正で適用要件が法令上明確化されたが、同居親族が被相続人とともに老人ホームに入居した場合の特例適用の可否で疑問が生じているようだ。

具体的には、被相続人A(平成28年相続開始)とAの唯一の相続人である妹B(Aと妹Bは生計別)が、両人とも要介護認定を受けて平成24年中に有料老人ホームに入居。平成28年のAの相続開始により、妹Bが、平成24年までAおよび妹Bが居住の用に供していた家屋(相続開始日において利用なし)とその敷地(本件土地)を取得したケースについて、当局は本件土地に小規模宅地特例を適用できるか否かを検討している。

この事例では、被相続人Aが相続開始時において要介護認定を受けており、有料老人ホームに入居していることから、「居住の用に供することができない事由」(措置令40の2②)が認められる。したがって、Aが有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していた本件土地については、「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」(措置法69の4①)に該当することになる。

そして、本件土地が、「特定居住用宅地等」に該当するためには、妹Bが、親族要件を満たす必要がある(措置法69の4③二)。この点、上記ケースで妹Bは、Aと同様に要介護認定を受けて有料老人ホームに入居しているが、措置法の規定上、特例対象親族の判断においては「居住の用に供することができない事由」のような規定が設けられていないことから、「被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者(親族)」(同号イ)には該当しないことになる。

一方、上記ケースで妹Bが、「非同居親族要件」(措置法69の4③二ロ)を満たしていれば、小規模宅地特例の適用が可能だ。すなわち、妹Bが相続開始前3年以内に妹Bまたは妹Bの配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続き本件土地を保有していれば、特例の適用を受けることができる。

(情報提供:株式会社ロータス21)