• 新築の賃貸建物(居住・非居住併用)に係る水道分担金の仕入控除税額で個別対応方式を適用する際の用途区分について裁決。
  • 審判所、水道分担金の用途区分についてテナント及び倉庫に係る分担金は課税対応分、居室に係る分担金は非課税対応分、共用部分に係る分担金は共通対応分と判断。

新築の建物(共同住宅)の各居室などに水道を引く場合、自治体(水道局)から「水道分担金」の支払いを求められることがある。本裁決で争点の1つとなったのは、本件建物に係る建築費用等(水道分担金を含む)の課税仕入れについて個別対応方式を適用する際の用途区分(課税売上対応分・非課税売上対応分・共通対応分)は何かという点である。事実関係をみると、不動産賃貸業を営む請求人は、本件建物の建築等を外部業者に発注し、引き渡しを受けた。本件建物は9階建ての共同住宅で、間取りは1階がテナント、2階から9階まではキッチン・バス・トイレ付きの居室(各階4室の合計32室)である。本件建物の5階及び9階の各1室は、課税仕入れの日である平成23年3月1日において事務所倉庫として賃貸することを予定ないし賃貸されていた。本件建物の請負工事代金には水道分担金(新規に給水装置を設置する者ごとに徴収されるもの)が含まれており、合計金額「1,785,000円(水道分担金34口分)」のうち1口分は1階のテナント用、1口分は共用、32口分は各居室用であった。

原処分庁は、本件建物の建築費用等の課税仕入れに係る支払対価の額(水道分担金を含む)は個別対応方式を適用する際に共通対応分に区分され、本件建物の用途区分別の面積に基づいて課税売上対応分と非課税売上対応分に区分することができる旨を主張していた。これに対し国税不服審判所は、本件の水道分担金は新規に給水装置を設置する者ごとに徴収されるものであるから、本件建物の用途区分別の面積と水道分担金の課税仕入れに係る支払対価の額に明確かつ直接的な対応関係はなく、本件建物の用途区分別の面積に基づく区分は個別対応方式を適用する際の合理的な基準とはいえないと指摘。審判所は、本件建物の居室のうち2室は事務所倉庫として賃貸することを予定ないし賃貸されていたから、1階テナント及び事務所倉庫2室に係る分担金(3口)は課税売上対応分、残りの居室に係る分担金(30口)は非課税売上対応分に区分され、共用に係る分担金(1口)は共通対応分に区分されると判断した(平成28年10月26日裁決・広裁(諸)平28第2号)。

(情報提供:株式会社ロータス21)