• 課税所得平均(前3事業年度)が15億円超の中小法人を対象とした中小企業向け租特の適用停止措置でも、「交際費の中小企業特例」と「欠損金の繰戻還付」は適用可。
  • 設立後3年以内の中小法人であれば適用除外事業者に該当せず。ただし、適用制限逃れを防止するために合併等による設立の場合等は所得金額を調整する措置を手当て。

平成29年度税制改正では、中小企業向けの租税特別措置について、中小企業者のうち事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人を「適用除外事業者」と定義し(措法42の4⑧六の二)、適用除外事業者に該当する事業年度については中小向けの租特の適用を停止することとされた。この改正は、平成31年4月1日以後開始事業年度から適用される。

今回の改正で適用要件の見直し(適用停止)が手当てされたのは、「試験研究を行った場合の税額控除(措法42の4等)」や「中小企業等の貸倒引当金の特例(措法57の9等)」など5つの租税特別措置である。中小企業向けの租税特別措置のうち、各措置法上規定されている適用期限との関係で平成31年4月1日に適用があることが確定していない措置(「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2)」や「少額減価償却資産の特例(措法67の5)」など)は、今回の改正では措置されていない(来年度以降の税制改正で適用期限の延長があれば措置の見込み)。また、法人税法上可能なところを措置法により制限している「欠損金繰戻還付の停止措置(措法66の13)」や「交際費の中小企業の特例(措法61の4)」については、適用除外とする改正は実施されない方向だ(過去3年の年平均所得が15億円超であっても適用可能)。

適用除外事業者に該当するか否かは、事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得金額の年平均額が15億円を超えているかどうかにより判定される。この点、措置法令27条の4第13項一号及び14項一号では、設立後3年を経過していない法人は基準年度の所得金額の年平均額が「ゼロ」とされたことから、設立後3年以内の中小法人は平均所得金額に関係なく中小企業向けの租特も適用可能となる。もっとも、法人の成り代わりにより適用除外事業者から逃れることを防止する観点から、判定をする法人が合併等により設立された場合等については、その合併等に係る被合併法人等の所得金額等を合併法人等の基準年度の所得金額に加算する措置が手当てされている(措令27の4⑬⑭)。

(情報提供:株式会社ロータス21)