• 給与所得控除額が上限となる給与収入を850万円超に引き下げ、その上限額を195万円に。
  • 青色申告特別控除は55万円に引き下げ。ただし、電子申告等の要件を満たした場合には65万円に。

平成30年度税制改正では、給与所得控除及び公的年金等控除の見直しが行われる。給与所得控除及び公的年金等控除を10万円減額する一方、すべての人に適用される基礎控除を10万円引き上げることにより、フリーランスや起業、在宅で仕事を行う者など、様々な形で働く人に対応する。平成32年(2020年)以後の所得税に適用される。

給与所得税控除については、現行、給与収入が1,000万円超で220万円が上限となっているが、今回の改正では、給与所得控除額が上限となる給与収入を850万円超に引き下げ、その上限額を195万円に引き下げる。なお、850万円超から1,000万円の者については徐々に負担を増やす仕組みを導入する。具体的な負担増は下表の通り。

(単位:万円)
給与収入 850
万円
900
万円
950
万円
1,000
万円
控除減 なし ▲5 ▲ 10 ▲ 15
負担増 なし +1.5 + 3.0 + 4.5

ただし、子育て世帯(22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者)や介護世帯(特別障害者控除の対象者が同一生計内にいる者(いわゆる「介護」を受けている者(例:要介護度3以上等の基準を満たす者)以外の特別障害者を含む)には適用せず、負担増が生じないよう配慮する。

また、公的年金等控除については、公的年金等収入が1,000万円を超える場合の控除額に上限(195万5千円)を設けるとともに、年金以外に特に高額の副収入がある年金受給者の控除額をさらに引き下げる(1,000万円超2,000万円以下の場合は10万円、2,000万円超の場合は20万円)。

基礎控除額は一律10万円引き上げるが、合計所得金額が2,400万円超の個人については合計所得金額に応じて控除額が逓減し、2,500万円超の場合は基礎控除の適用はできないこととする。

そのほか、基礎控除の引上げ及び給与所得控除の引下げに伴い、各種控除の調整措置が講じられる。例えば、青色申告特別控除は55万円(基礎控除との控除合計額は103万円で変わらず)に引き下げるが、電子申告等の要件を満たした場合には65万円に引き上げる特例が設けられる。

また、特定支出控除を見直す。「職務上の旅費」を対象に追加するとともに、「帰宅旅費」の限度回数(月4回)を撤廃する。

(情報提供:株式会社ロータス21)