• 一般社団法人等を利用した相続税節税スキームを封じ込めるため、「相続税法66条の2」を創設。
  • 相続開始直前の同族理事数が総理事数の過半数を占めるなどの要件を満たす「特定一般社団法人等」の理事死亡時に相続税を課税。
  • 個人から一般社団法人等への贈与時課税明確化は政令改正で手当て。

平成30年度税制改正法案には、一般社団法人等を利用した相続税節税策を封じ込めるための規定として「相続税法66条の2(特定の一般社団法人等に対する課税)」が盛り込まれている。

今回創設される相続税法66条の2では、一般社団法人等(公益社団法人その他の一定のものを除く)の理事である者(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合に、その一般社団法人等が「特定一般社団法人等」に該当するときは、その特定一般社団法人等がその死亡した者(以下「被相続人」)の相続開始時におけるその特定一般社団法人等の純資産額についてその時における同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税を課税する旨が規定された。

対象となる特定一般社団法人等は、①相続開始の直前における同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること、②相続開始前5年以内において同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であることのいずれかを満たす一般社団法人等のことである(相法案66の2②三)。なお、税制改正大綱では、個人から一般社団法人等に対する贈与について現行(相法66④、相令33③)の要件(親族が役員のうち3分の1超など)のうちいずれかを満たさない場合に贈与税等が課税されることを明確化する旨が盛り込まれているが、この改正は政令により手当てされる見込み。相続税法66条の2により特定一般社団法人等に相続税が課税される場合には、その相続税の額から贈与等により取得した財産について既にその特定一般社団法人等に課税された贈与税等の額は控除される(相法案66の2③)。

今回の改正案は、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の理事の死亡に係る相続税について適用されるが、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後のその一般社団法人等の理事(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)の死亡に係る相続税について適用されるなどの経過措置が手当てされている(税制改正法案附則43⑤)。

(情報提供:株式会社ロータス21)