• 令和5年度税制改正では、特定非常災害に係る損失の繰越控除期間を5年に延長。特定非常災害により、住宅・家財等に損失が生じた場合の雑損失の繰越控除期間も5年に延長。

昨今では毎年のように大きな被害をもたらす災害が起きているが、令和5年度税制改正では、公明党の要望により、特定非常災害に係る損失の繰越控除期間を5年間(現行3年間)に延長することとなった。東日本大震災の際に制定された「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(震災税制特例法)では、繰越控除期間が5年間認められており、これと同様の措置が講じられる。

具体的には、保有する事業用資産等のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が10%以上である場合、青色申告の場合はその年に発生した全純損失の繰越を5年間(下図参照)、白色申告の場合は被災事業用資産の損失の金額と変動所得に係る損失の金額の繰越を5年間認めることとする。特定被災事業用資産の損失の割合が10%未満の場合については、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額の繰越を5年間認める。

また、災害により住宅や家財などに損害を受けた場合には、確定申告を行うことで所得税法の雑損控除の適用を受けることができる。その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間に繰り越して、各年分の所得金額から控除することができるが、特定非常災害に指定された災害により雑損控除を適用する場合には、これを5年間に延長する。

なお、特定非常災害特別措置法上の「特定非常災害」とは、①死者・行方不明者、負傷者、避難者等の多数発生、②住宅の倒壊等の多数発生、③交通やライフラインの広範囲にわたる途絶、④地域全体の日常業務や業務環境の破壊などの諸要因を総合的に勘案して政令で指定される。これまで東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)などが指定されている。

(情報提供:株式会社ロータス21)