• インボイス通達5−1に基づき事業者登録を行い、令和5年10月1日の属する課税期間から適格請求書発行事業者登録を受ける場合、3年縛りは適用されず。
  • ただし、課税事業者選択届出書を提出する場合や高額特定資産を取得した場合は3年縛りが適用。

昨年10月1日から適格請求書発行事業者の登録申請(以下「事業者登録」)の受付が始まっているが、事業者登録にあたっての検討課題の一つに、免税事業者による事業者登録といわゆる3年縛りとの関係がある。  消費税法上、いわゆる「3年縛り」として、課税事業者選択届書を提出した事業者がその適用開始から2年以内に調整対象固定資産を取得した場合、その取得日の属する課税期間の初日から3年以内は、課税事業者選択不適用届出書の提出と簡易課税制度の選択ができないとされている(消費税法9条7項、37条3項1号)。

一方、インボイス通達5−1では、免税事業者である事業者が、インボイス制度の開始日令和5年10月1日の属する課税期間から事業者登録を受ける場合、登録申請書のみを提出すればよく、課税事業者選択届出書の提出を要しないとされている。

実務家の間では、インボイス通達5−1による事業者登録の場合も、3年縛りが適用されるのではないかという懸念が生じていたが、本誌が当局に取材したところ、この場合は3年縛りの適用はないことが確認された。

3年縛りは、あくまで課税事業者選択届書を提出した場合を前提としているため、インボイス通達5−1のように、免税事業者が登録申請書の提出のみで事業者登録可能な場合は、3年縛りの適用がないという解釈になるとのことだ。

ただし、事業者登録を行うために課税事業者選択届出書を提出する必要がある場合や、消費税法12条の4の高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例が適用される場合には、これまで同様に3年縛りが適用されることになる。

免税事業者にとっては、調整対象固定資産を取得した翌期から簡易課税制度が選択可能となり、事業者登録時の選択肢が増えるという点では朗報だが、実務家からすると、複雑化している納税義務の判定や簡易課税の適用について、また一つ悩ましい検討課題が増えたとも言えそうだ。

令和4年度税制改正大綱では免税事業者による事業者登録についての改正も含まれている。本件取り扱いにどのような影響があるのか、春に明らかになる改正法令等の内容を確認する必要がある。

(情報提供:株式会社ロータス21)