• 特定口座で管理されている上場株式等を金融機関に信託した場合、引き続き特定口座の恩典を受けられる旨を、金融庁が国税庁に事前照会することで明確化へ。

現在、認知症等の発症に備え、事前に特定口座を開設するとともに、金融機関と信託契約を締結することで顧客の資産管理を行うサービスが検討されている。しかし、特定口座で管理されている上場株式等を金融機関に信託した場合、引き続き特定口座の恩典を受けられるのか、税法上、明らかではないため、当該サービスの提供には至っていない。特定口座では、金融機関が取得価額の管理や売却損益の計算、納税手続を行うため、顧客自身による確定申告が不要となる恩典があるが、これらの恩典がなくなるとその影響が大きいからだ。このため、金融庁では令和4年度税制改正要望において、認知症等における投資者保護の観点から信託における特定口座利用の明確化を求めていた。

12月10日公表の与党の令和4年度税制改正大綱には法令改正ではないため盛り込まれなかったものの、特定口座で管理されている上場株式等を金融機関に信託した場合であっても、税法上、引き続き特定口座の恩典を受けられる旨を、金融庁が国税庁に事前照会することで明確化するとされている。なお、金融機関のサービス提供は国税庁の文書回答公表後ということになる。

(情報提供:株式会社ロータス21)