• 金融庁、エヌエヌ生命保険に対して業務改善命令。国税庁の通達改正後も名義変更プランの保険商品の販売を経営陣の関与の下、組織的に開発・販売。節税保険販売による行政処分は2例目。
  • 金融庁、昨年7月から国税庁と連携し節税目的の保険商品に対する対応を強化。節税が主目的の保険商品があれば適切に対応。

金融庁は2月17日、エヌエヌ生命保険株式会社(東京都渋谷区)に対し、業務改善命令を発出した。節税保険の販売に関する行政処分は令和4年7月のマニュライフ生命保険株式会社に次いで2例目となる。

金融庁は、2019年2月の国税庁による法人税基本通達の改正に係る保険業界への周知以降、保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わないよう注意喚起を行うとともに、同年10月に「保険会社向けの総合的な監督指針」を一部改正し、法人等向け保険商品の設計上の留意点として、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか」という観点を明確化し、節税(課税の繰り延べ)を訴求した商品開発を含め、同活動を防止するための指針を示していたが、同社は、国税庁の法人税基本通達改正後も名義変更プランと呼ばれる保険商品の販売を経営陣の関与の下、組織的に開発・販売を行っていたとされている。

名義変更プランとは、低解約返戻金型定期保険等を活用し、法人から個人(役員等)に名義変更を行うことで、法人と個人の税負担の軽減が可能となる点に着目し、保険期間当初の低解約返戻期間中に法人から個人に名義変更を行い、当該期間経過後に解約することを前提とした保険加入を推奨する手法のこと。国税庁が2021年6月に所得税基本通達を改正したことにより、名義変更プランの節税メリットは大幅になくなっているが、金融庁は、節税目的の保険商品に関して、昨年7月に国税庁と連携し対応を強化する方針を明らかにしている。具体的に保険商品の審査段階では、金融庁から保険会社に対して、国税庁に税務に関する事前照会を慫慂するほか、国税庁との定期的な意見交換を行うとしており、すでに実施されているという。

金融庁は、保険本来の保障機能という目的ではなく、主目的が節税というのは適切とはいえないとしている。今後も、保険会社や保険代理店に募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等をしていく中で、必要な対応を採っていくとの方針を明らかにしている。

(情報提供:株式会社ロータス21)