• コインランドリー業又は暗号資産マイニング業用設備等への中小企業経営強化税制適用に関する“おおむね全部”の判断は、最終的には課税当局が実態を見て判断。
  • “おおむね全部”の判断に際しては、まずは中小企業庁ウェブサイト内のQ&A集共−38の解説を基準として判断してよい旨も確認。

周知のとおり、令和5年度税制改正において、減価償却資産の即時償却等を認める中小企業経営強化税制(措置法42条の12の4)の対象となる資産のうち、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業の用に供する設備等は、それが取得者の主要な事業である場合を除き、その管理の“おおむね全部”を他の者に委託するものについては、同税制の対象外とされた。この改正は、措置法ではなく中小企業等経営強化法施行規則の改正であったため、“おおむね全部”の意味するところは、中小企業庁ウェブサイト内の「中小企業経営強化税制Q&A集」共−38にて解説されている。

即時償却等を行うためには、認定を受けた経営力向上計画に対象資産が記載されている必要がある。この点、令和5年度税制改正が中小企業等経営強化法施行規則の改正であり、経営力向上計画の認定等の解説も中小企業庁のウェブサイトを中心に行われていることから、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業用の資産についても、これらの資産が記載された経営力向上計画が認定を受けているのであれば、“おおむね全部”に関する審査も済んでいるものとして、中小企業経営強化税制の対象と扱って問題ないと顧客にアドバイスしている税理士等もいるようだ。しかし、本誌が課税当局に取材したところ、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業用の資産について経営力向上計画の認定を受けていれば確実に中小企業経営強化税制の対象となるわけではなく、“おおむね全部”に抵触していないかどうかは、最終的には税務調査等で課税当局が実態を見て判断することが確認された。実際にこの点は、令和5年度の「改正税法のすべて」349頁の「(注2)上記の対象資産から除外される資産が仮に経営力向上計画に記載されていたとしても、その資産は対象資産には該当しません。」という記載にも示されている。また、どのような基準によって“おおむね全部”の判断を行うのかについては、課税当局が独自で出している基準や指針のようなものはないため、まずは中小企業庁が掲載しているQ&A集共−38を基に判断してよい旨も確認されている。

(情報提供:株式会社ロータス21)