平成26年度中に滞納処分免脱罪で告発された事案の件数が過去最高を記録。告発された19人員のうち、5名に対し実刑判決が下る。

国税徴収法では、納税者などが財産の差押えなどを免れる目的で財産を隠ぺいなどした場合に、3年以下の懲役または250万円以下の罰金(併科あり)に処する旨を規定している(徴収法187)。

国税庁への取材によると、平成26年度中に、国税局が滞納処分免脱罪により告発した事案の件数(前年比2件増加の8件)が1年の告発件数としては過去最高を記録したことが明らかとなった。告発事案の増加により、告発された人員(法人および個人)の数(前年比9人増加の19人)も過去最高を記録した。国税庁によると、5名に対しては実刑判決が下されている。

平成26年度に国税局が告発した事案のなかには、滞納者が財産の差押えなどを免れるため、請負代金を第三者名義の預金口座に振り込ませるなどして財産を隠匿していた事例があった(図参照)。

具体的にみると、電気機器製作業を営む滞納者は、申告所得税や消費税など約1,000万円を滞納。税務署は、滞納者が自己破産をしたことなどから、滞納処分の停止を行った。ところが、滞納者の取引先に対する税務調査の際に、滞納者が屋号を変更したうえで事業を継続する一方で、滞納者が取引先に対し請負代金を第三者名義の口座に振り込むよう依頼して財産を隠匿していた事実が発覚。国税局の告発により起訴された滞納者に対し裁判所は、懲役1年(執行猶予3年)および罰金30万円の有罪判決を下した。

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(情報提供:株式会社ロータス21)