• 要介護認定を受けた者に関する障害者控除を適用するためには、市区町村が発行する「障害者控除対象者認定書」が必要。
  • 年齢が65歳以上の高齢者で、障害者に準ずると市区町村が認定する者が対象に。
  • 要介護認定のほか、日常生活自立度(寝たきり度)などで一定の基準を満たす必要あり。

障害者控除は、納税者自身が障害者である場合またはその控除対象配偶者や扶養親族のうちに障害者がいる場合に、一定の金額を所得金額から控除するというもの(所法79、地法34①六等)。所得控除額は、所得税が27万円(特別障害者の場合は40万円)、住民税が26万円(特別障害者の場合は30万円)である。平成27年分の所得税確定申告が2月16日から始まるなか、この障害者控除の適用に当たって注意が必要なのが、介護保険法による要介護認定者のケースだ。法令(所令10条①、地法令7条、7条の15の7)では、障害者控除の対象となる税法上の障害者が限定列挙(参照)されているが、このなかに介護保険法による要介護認定者は直接規定されていない。したがって、介護保険法による要介護認定を受けたことをもって、直ちに障害者控除の適用を受けることはできない。

ただし、年齢が65歳以上の高齢者で、障害者に準ずると市区町村が認定する場合には、市区町村が発行する「障害者控除対象者認定書」をもって、所得税および住民税の障害者控除の適用を受けることができる(の「七」参照)。

認定にあたっては、対象者が要介護認定を受けているほか、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)などで一定の基準を満たしていることが必要となる。この認定申請手続きは、認定対象者(高齢者)の住所地の市区町村に対し行う。配偶者や扶養親族が要介護認定者の場合は、この認定制度の申請を忘れずに行う必要があるだろう。

【表】所令10条1項等が規定する「障害者」

 一 常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人または精神保健指定医等の判定により知的障害者と判定された人
 二 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
 三 身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人
 四 戦傷病者手帳の交付を受けている人
 五 原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人
 六 常に就床を要し、複雑な介護を要する人
 七 精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が上記一または三に掲げる人に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人
(情報提供:株式会社ロータス21)